[C3] ラジオ動作確認

私のコルベットにおいて、当時物デザインではない最後のパーツはラジオです。

このラジオ、一見すると古そうなのですが1968年当時にカセットはないですし、もちろん液晶表示もありません。古いことは古いですが、おそらく80年代頃に交換されたのだと思います。

ebayで68年式コルベットから取り外したというラジオを発見して落札したのが去年の1月。シリアル番号などから、68年式コルベットから取り外されたものに間違いないことは確認済み。(https://www.pac1.net/corvette/2024/01/c3-426.html)


その後、Convectorも当時物のトランジスタが付いた状態のものをebayで落札。これらを入手したことで満足してしまい、その後放置していたのですが、1年経ってやっと作業をする気になりました。

まずは蓋を開けてみます。
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60年代の電子機器です。こんな基板、現代では目にすることはありません。ICやLSIの類は一切ありません。すべて目で見てわかる部品です。一つの素子が大きいうえにパターン設計もCADがない時代ですから、最適化されておらず、グチャグチャです。ハンダ付けはフローやリフローではなく、コテを使った手作業です。凄いですね。しかも、ブラジルやベトナムではなく、アメリカでアメリカ人が作っていたのです。今、これと同じものを同じ手法で作ったら100万円くらいするのではないだろうか。
AM/FMの切り替え、周波数チューニングやプリセットはすべて機械式です。右奥の方にバリコンが見えます。
一部に熱収縮チューブが見られるので、最低でも1回は修理されたことがあるのだと思います。60年代に熱収縮チューブは多分ないですから。

焦げているところなどは見つからないので、とりあえず電源をつないでみると、FMはザーザーいうので生きているみたいですが、AMがウンともスンとも言いません。修理書も入手済みなので(https://www.pac1.net/corvette/2024/01/c3-426.html 参照)、回路図を元にチェックを進めていきます。
ラジオの原理は簡単です。小中学生のときは「初歩のラジオ」や「ラジオの製作」の愛読者だったことを思い出しました。あの頃の秋葉原は、今とは全然違いました。
結局、壊れていたのは電気部品ではなく、アンテナ切替のスイッチでした。壊れていたというか、接触不良ですね。接点を磨いてやったら、完全復活。ちょっと拍子抜け。

それにしても、改めてこの時代の電子機器に触れると、昔は色々なことを機械で実現していたことを思い知らされます。
これ、AMとFMを切り替えると、中で回路が切り替わるだけでなく、周波数表示板も切り替わるのです。

AMのとき
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FMのとき
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照明のバルブは切れていたので、交換しました。表示は60年前のものとは思えないほど綺麗です。

周波数プリセットも、5つのボタンを引いて押し込むことでカムの位置が設定されて、ボタンを押すことで、カムがバリコンを回すのです。凄いですね。
コルベットのレストア用パーツとして、同じデザインのラジオが売られていますが、メカで再現することが難しいらしく、このパネル表示の切り替えなどは液晶で代用されています。

このラジオが、コルベットにとってもっとも複雑な電子機器です。
今の最新型のクルマが60年後も走れるかというと、たぶん修理不可能で走れないでしょう。でも、私のコルベットは、今から100年後でもメンテナンスが可能だし、走り続けることが可能です。
ガソリンさえあれば。