趣味のクルマで大事なこと

一口に「クルマが趣味です」と言っても、その楽しみ方には色々とあります。ドライブを楽しむのか、いじるのを楽しむのか、あるいは集めるのが楽しいのか。そして、楽しんでいるのは一つだけではなく、複合していることがほとんどです。
私の場合は、乗ること、いじること、眺めること、そして知識を得ることです。知識とは、歴史だったり、過程だったり、構造だったり、設計だったりするもの、すなわち文章や写真、図で表現される事柄です。それらを知ることは楽しい。

知識を得る、ということについて、コルベットは最適な一台です。私の知る範囲において、文献や資料はコルベットがダントツで多い。次に多いのはフォード・マスタング。3位はポルシェ911です。フェラーリは数が多そうに見えますが、連続したクルマ作りをしない会社なので一車種に絞ると意外と文献や資料は多くありません。

今回、LC500に関しては、こんな書籍を見つけました。
"THE PRIDE LEXUS LC500 / LC500h"
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タイトルは英語ですが、中身は日本語です。カーグラフィックによる出版。日本車にしては珍しく、発表前の段階からマスコミが取材に入っています。しかし密着取材と書かれているわりには、断片的(テスト走行の時だけ)な取材にとどまり、そのためかこの本は心象風景的な写真とインタピュー記事に多くのページを使っていて、開発過程のドキュメンタリーにはなっていませんでした。期待していただけに残念です。

これが例えばコルベットだと、企画段階からドキュメンタリー作家がチームに入っていて、開発過程を、約400ページにわたり文字だけで追った本("ALL CORVETTES ARE RED"の例)が出版されたりするので、非常に読みごたえがあり、知識欲も満たされます。
また、数多くのコルベット研究家がいて、これまでの文献や取材に基づいて、多種多様な切り口で書かれた本が多数出版されているのも、趣味のクルマとして最適です。

こういう点で、いくらLC500がハードウェア的に名車だという評判であっても、趣味のクルマとしては、まだ片手落ちだと感じました。歴史と伝統がない新興ブランドの弱みですね。趣味のクルマとしてのブランドを確立するには最低でも50年くらいの歴史は必要なのではないかと思います。