先日の樹脂の焦げた匂いの原因を探ります。
目視で焦げなどが見当たらないので、現象を再現させる必要があります。万が一発火してもすぐに消せるように、消火器、水の入ったバケツ、軽く絞った濡れ雑巾を手の届く場所に用意しました。発火した時に最初に使うのは濡れ雑巾。電線が発火した場合、すぐにバッテリーを切り離して、濡れ雑巾で包めば消えるとレーシングカーのメカニックに教わりました。私自身は経験ないですが。
自動車用の電線は難燃材を使っているので激しく発火することはないはずですが、後付けの電線に自動車用が使われているとは限らないので、万全の体制で臨みます。
まずは、バッテリーを切り離して安物のバッテリー充電器と電流計をクルマに繋ぎます。このようなテストに使う充電器は「安物」という点が重要です。高級品は、一定電流や一定電圧、あるいはパルス印加などの制御を行っているので、バッテリーが繋がっていないと電流を流してくれません。
バッテリー充電器を使うのは、最大電流が最大で数アンペア程度だからです。バッテリーは大電流を流してしまうので、万が一ショートしたときのダメージが大きいのです。
暗電流は正常。やはり故障の第一候補はこの前交換したブレーキランプスイッチなので、ブレーキペダルを踏んでみます。2A程度電流が増えましたが、おかしいです。ブレーキランプのワット数を考えると、もっと電流が流れても良いはず。
バッテリー充電器のブレーカーが落ちないので、ショートはなさそう。
次はバッテリーを繋げてブレーキペダルを踏んでみました。
ブレーキランプがやたらと暗い。ウインカーやハザードは正常なので(アメリカ車なのでブレーキランプとウインカーは同じ球)、球切れや電球の接触不良ではなく、やはりブレーキランプスイッチが怪しい。
頭をダッシュボードの下に突っ込んで、ブレーキランプスイッチを触ってみると、ほんのり暖かい気がします。その姿勢のまま手でブレーキペダルを押し込んでいると。
来ました。樹脂の焦げる匂いと、わずかな煙。ブレーキランプスイッチのケーブルの付け根付近です。触れない熱さになっています。
やっぱり、ブレーキランプスイッチか。
外しました。ケーブルの付け根のゴムのカバーは熱で変形しています。
今にして思うと、ケーブルの付け根にホットメルトって変です。いくら非純正品だからと言っても、製品としてこれはないでしょう。なんで、取り付けの時に疑問に思わなかったんだろう。ボケてきたのかも。
あくまでも推測ですが、検品で落とされたか、不良品して返品されたものをホットメルトで固めたら直ったので、販売したのではないかと。
返品できなくなりますが構造を知りたかったのでバラしてみました。
ケースの中に、こういうバネ接点があって、
ペダルのアームに当てているレバーが動くと、このバネ接点が一緒に動きます。
蓋側にはケーブルに直結した接点があって、上の写真のバネ接点がこの二つの接点と一致すると、2本の線が繋がるという仕組みです。
わかりやすい構造ですが、バネ接点の押し付け力が微妙で、蓋を組みつけた状態でスイッチを動かすとONになったときでも数10~数100Ωの抵抗がありました。蓋の押し付け具合やケーブルの押し具合で抵抗値は変わります。この抵抗のせいでここが発熱し、同時にランプも暗くなっていたというわけです。
バネ接点は焦げたグリスがこびり付いていました。
原因がはっきりしてすっきりしました。交換したスイッチが不良品だったわけです。検品をきちんとしていれば防げたと思いますが、そもそもこういう物を発送してくる会社も悪い。ちなみに、Corvette Centralです。まあね、通販ショップがベンダーから納品された部品をいちいち検品しないでしょうから、最終的な購入者がきちんと検品するしかないですね。
ところで、部品を調べていて気が付いたのですが。
この形式のスイッチは、1968年式にしか使われていません。69年式は67年式と同じスイッチです。
68年式にしか使われていない部品は、他にもちょこちょこあって、他の年式と比べると68年式はやっかいな事が多いです。しかし、そのユニークなところが良くて68年式を選んだのですけどね。
昨年燃えたタレントのコルベットも68年式。足元から煙が上がってきたと書かれていたので、このスイッチが原因だった可能性は高いと思います。これ以外に、足元で大きな電流が流れているものはありませんから。
というわけで、コルベットはまた部品待ちのステータスになります。今度のダムサンデーはコルベットで行きたかったなぁ。