eCrate

日本とアメリカの自働車文化の違いを見せつけられるものはたくさんありますが、その中の大きな一つはCrateエンジンの存在だと思います。
日本では馴染みのないCrateエンジンとは、自動車メーカあるいはアフターマーケットのバーツサプライヤーが売っている新品の汎用エンジン単体です。日本でも特定車種の補修交換用として自動車メーカが販売しているものや、中古業者によるリビルト品としてのエンジンは売っていますが、Crateエンジンはそういうものとは違います。もちろん補修用としても使いますが、もっとも大きな需要はパフォーマンスアップを目的とした交換用途です。

GM PerformanceのCrateエンジンの販売サイト
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今、アメリカで一番人気のエンジンはGMのLS系。1990年代の後半に登場して、ついこの前出たばかりだと思っていたのに、気が付けばもう20年以上になりました。安く簡単にパワーが出るということで、アメリカ人は何でもかんでもLSエンジンを載せます。
GMのV8エンジンは基本として2種類しかありません。Big blockとSmall block。50年以上の昔からエンジンの寸法や軸の位置は大体この2種類しかないので、この種類さえ守れば大きな改造なしに載ります。PCのCPUを交換したりするのと似ています。
日本車のようにモデルチェンジごとに、まったく寸法の違うエンジンを作ったりしないのも、Crateエンジンの人気を支えているのだと思います。

そういうCrateエンジンという文化の背景を説明して、ここから本題。
シボレーがeCrateというジャンルを開始します。

CHEVROLET PREVIEWS ELECTRIC CONNECT AND CRUISE AT SEMA360

内燃機関のエンジンの交換用としての電動モータシステムをアフターマーケットに売るのです。
例えば、60kWhパッケージに含まれるもの。

・60-kWh battery pack

・200-horsepower electric motor

・DC-to-AC power inverter to drive the electric motor

・DC-to-DC power converter to power low-voltage systems

・Wiring harnesses, controllers and water pumps for battery heating and cooling

今までもベンチャー企業が、趣味人向けにパッケージキットを売っていましたが、最大手の自働車メーカが乗り出すということで、これから旧車の電動化改造が一つのムーブメントになるのではないかと思います。
日本では自動車を趣味にしている人は保守的な人が多い印象で(排気音が、振動がとかいう人たちが多い)、実用向けとしての改造はともかく趣味としての改造がビジネスに結びつくのはまだまだ先だと思いますが、アメリカの自働車趣味では先進的なものが好きな人も案外と多いので、これから一つの流行になるのではないかと思いました。

先取りして、日本初の正規インストーラーとなるのもありかもですよ。

このロゴはシャレていると思う。
ルイ・シボレーも自分の名字に入っている「EV」に焦点があてられる日が来ることは想像もしていなかったでしょう。
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