13.5kHz

スピーカーを3Wayにして、DSPで周波数特性をいじっている時に気が付いてしまったことがあります。


この二つの周波数特性。オレンジが補正をしていない素の音で、ブルーは特性をまったく見ずに、耳だけで気に入った音質になるように調整した結果の周波数特性。
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注目してほしいのは10kHz~20kHzの特性です。気に入った音質であるブルーの線はゲインが急に落ちています。これは、意図して落としたのではなく、気にしなかったから持ち上げなかったのです。
お気に入りの音楽を聴きながら調整をしていたのですが、この結果をみて「えっ、なんで?」と思いました。もしかして聴いている曲はこの辺の周波数の音が入っていないのか、と思って曲を聴きながらリアルタイムにFFTをかけてみると、ちゃんと使われていました。

もしかしてと思い、この辺の周波数のSin波を出力してみると、まったく聞こえない。でも、計測マイクにはちゃんと入力があるので、音は出ています。私が聞こえないのです。
少しずつ周波数を変えて調べてみると、13.5kHzより上はまったく聞こえないことがわかりました。聞こえないから、ゲインが低いままでも気にならなかったのです。

人間の可聴周波数は20~20,000Hzだそうですが、年齢が上がると上限の周波数は下がってくることが知られています。高い周波数の音は徐々に失われていくので、意識することは少ないのだそうですが、私自身の事を計測器を見ていて気が付かされてしまいました。

健康診断の聴力検査。高い方の音は4kHzだそうです。音楽鑑賞という意味では、健康診断で聞こえているからと安心してはダメなようです。
上限周波数と年齢の関係を探したのですが、耳鼻科業界では8kHzが何dBまで聞こえるか、という調査はされているみたいですが、何kHzまで聞こえるかという調査結果は見つかりませんでした。
唯一、アマチュア研究家のサイトで、こういうデータを見つけました。
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私の年齢だと11kHzくらい。母集団の少なさや計測方法の問題などもあり正確性には欠けるかもしれませんが、年齢と共に上限周波数が下がる傾向は見て取れます。

本来あるはずの音が聞こえていないのです。同じ曲でも若者とは印象が違うのかもしれません。

とあるサイトで見つけた、コンビニなどに設置してあるという若者撃退装置の周波数特性。
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19kHz。ああ、これは私には聞こえない。実際、気が付いたことは一度もありません。