最高気温26℃

今のキャブセッティングを出したのは気温が10℃以下だった頃。
本日、気温26℃の中を走ったとき、ガスが濃い感じがしました。具体的には、
・排気が臭い
・シフトダウンの時の回転合わせの空ぶかしで一瞬息をつく
・アイドリングがやたらと安定している
といった症状です。
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10℃のときと26℃のときで、アイドリングに必要なガソリン量がどのくらい違うのか、概算してみましょう。ガソリン1gを燃やすのに必要な酸素の質量は分子量の計算で理論的に決まっていて、14,7gです。
気体の質量の計算の基本は、中学か高校でならう「気体の状態方程式」です。
私は仕事柄、暗記しています。
PV=nRT

圧力Pは同じ圧力で比較するので変化がなく、体積Vも、排気量に違いはないので変化がないとします。なので
PV=nRT=n’RT’
n’/n=T/T’
気温が10℃から26℃に変化したのであるから
n’/n=(273+10)/(273+26)=0.946
したがって、空気の物質量は冬にセッティングした時から5%減少しているわけです。

考え方を簡単にするために、1気圧、気温10℃でエンジンが2回転したときに排気量と同じ7Lの空気が取り込まれるとします。空気の成分は体積比で約21%が酸素なので、酸素の体積は1.47Lになります。
この時の酸素の物質量n=PV/RT=101325[Pa]*0.00147[m^3]/(8.31[J/(Kmol)*(273[K]+10[℃]))=0.063[mol]

酸素の分子量は16。よって、酸素質量は0.063[mol]*16=1.01[g]
理想空燃比は14.7なので、必要なガソリンの質量は1.01/14.7=0.069g。
ガソリンの密度は0.72[g/cm^3]。これは20℃のときの値であるが、ガソリンは液体なので、温度による体積変化は気体に対して無視できるほど小さいので、
ガソリンの体積は0.069[g]/0.72[g/cm^3]=0.095[cm^3]=0.095[cc]

アイドリングを650[rpm]として、1分間に必要なガソリンの量は
650[rpm]/2*0.095[cc]=30.9[cc]
夏場はこれが5%減るわけなので
30.9[cc]*0.05=1.54[cc]

これが、夏と冬でキャブレターのアイドルミクスチャを変える理屈です。
状態方程式は理想気体のものだし、空燃比は理論値、エンジンの吸入空気量だって排気量と一致しませんから、あくまでもこれは考え方を示したでけですが、出てきている数値は大外れはしないはずです。現実的な数値を知りたければ、実験するかCFD解析を必要とします。