庭木に殺虫剤を撒く噴霧器。パナソニック製です。
パナソニックという会社は、最先端家電からこういう原始的な電気製品、さらには壁のコンセントのような基礎的な部品まで、幅広く作っています。不採算事業も多いと思いますが、企業責任があるのでやめられない一面もあるのでしょう。
100年前の製品を、いまだに年間10万個も売るパナソニック
ただし、こういう製品にはあまり開発に力を入れないと思われます。この噴霧器は、単一電池を6個も使うという、電気バカ喰い。単一電池は高いんですよ。それを6個も使われたのではたまりまりせん。
頭にきたので、外付けのバッテリーで駆動できるように改造して、自動車のブースターバッテリーを繋げて使っていました。
しかし定格9Vにたいして12Vをかけているので、流れる電流が大きすぎて、モーターがオーバーヒートします。だいたい、連続稼働時間は5分というところです。あまり実用的ではなくなっていました。
そのため、電流を下げてやる必要があります。真っ先に思いつくのは抵抗器を入れることです。オームの法則ですね。しかし、これは抵抗器のところで無駄に電力を消費します。電力を熱にして捨てているのです。
そこで、今回はPWM駆動化にします。PWM駆動とは、大雑把に言うと、電気を高速でONとOFFを繰り返してモーターを動かす仕組みです。ONの時間とOFFの時間の割合を変えることで、モータのスピードが変わります。電気をOFFにしてスピードを調節するので、無駄に捨てる電力がありません。
モーターがカクカク動きそうな気がしますが、機械系の応答は電気系の応答にくらべてかなり遅いので、よほどの精密性を要求しない限り、わかりません。
というわけで、これがPWM回路です。完成品で売っています。右側についているボリュームでONとOFFの割合(デューティー比といいます)を調節できるようになっています。ここにボリュームのかわりにマイコンなどをつなげてやると、コンピュータで回転制御ができるようになります。今回は、コンピュータで回転制御する理由がないので、ボリュームによる手動調節で十分です。やる気になれば、スマホを使って回転制御とかできますが、やる意味がありません。
ちなみに、PWM回路の下に敷いているガラス板は、「レチクル」と呼ばれる半導体製造用のフォトマスクの基盤です。石英ガラスで出来ていて、超絶な平面度を持っています。1枚10万円くらいしますが、これにパターンが形成されると数千万円になります。
私は半導体装置の技術者なので、実験に使って汚れて廃棄処分になるものを何枚かもらってきました。汚れたと言っても、半導体製造レベルに使えないというだけで、日常的なレベルでは、まったく綺麗です。石英ガラスなので、耐熱ガラスですから、いろいろな用途に使えて便利です。平面度も恐ろしく出ていますから。一家に1枚はあると良いでしょう。
話しを元に戻して。
このPWM回路を例によってタッパーに入れて、噴霧器の横にタッピングビスで固定します。
タッパーに入れるのは、多少の水がかかっても大丈夫なようにするためです。こういうものを収めるのに、タッパーは最強です。
動作テストも問題なし。これで連続稼働が可能になると思います。
PWM制御の噴霧器。もしかしたら、世界初かも?
明日、使ってみよう。