私のガレージに迎え入れるクルマはル・マン24時間レースで優勝したクルマ(の同型車)という縛りがあります。というのは半分冗談で、実際には逆。選んだクルマがル・マン24時間で優勝したクルマだったということです。
本当のことを言うと、以前に所有していたRenault Sport Spiderは、プライベートチームがル・マンに挑戦したものの、予選落ち。さらに、その前に所有していたLotus7(Birkinレプリカ)は、ル・マンに挑戦すらしていません。
このころは、私自身がまだクルマの歴史にあまり興味がなかった時代なので、除外ということにしています。
去年、1年間だけ所有していたFord GT40(GTDレプリカ)はル・マン24時間で勝つために作られたクルマなので、説明不要でしょう。
Porsche 550は、1953年、1954年、1955年にクラス優勝しています。
C5 Corvetteは2001年、2002年、2004年にクラス優勝。
そして、今度のC3 Corvetteは、1972年、1973年、1974年にクラス優勝です。
1972年に優勝したCorvetteは私が購入したのと同じ1968年式でL-88搭載のコンバーチブルです。この車両の生い立ちについては諸説あるみたいで、記述しているソースによって内容が異なります。廃車置き場で見つけて$600で購入した個体を8週間でレーシングカーに仕立てたとか、Zora Arkus-Duntovが、GMに内緒でこっそりとL-88ユニット搭載車を持ち出して提供したとか。また、エンジンがL-88ではなくL-71と記載されている場合もあります。
写真をみるとFerrariのマークが付いています。当時のデイトナやセブリングでCorvetteを走らせていたレーシングチームは、ル・マンのエントリーをしておらず、スポンサーのGood Yearが北米Ferrariのレーシングチームの出場枠に、無理やりねじ込んだので、Ferrariのフリをしていたということらしいです。そのため色もCorvetteの赤ではなく、Ferrariの赤になっています。
他にも、当時のLe Mansは招待制でCorvetteは招待されていなかったから、Good Yearが北米Ferrariのチームから出場させたから、という記述もあります。
これも諸説あるので、何が本当なのかわかりませんが、フェラーリのマークを付けたCorvetteがLa Mansを走って優勝したという事は紛れもない事実です。
当時はGMが一切のレース活動を禁止していた時期なので、これらはGMのワークスチームではなく、プライベートチームとして出場していました。
車両も、市販のものを使っていたわけですが、これが半ば伝説となっているL-88エンジン搭載車です。L-88エンジンは、1969年までオプションとしてカタログに載っていましたが、公道向け市販車であるにもかかわらず、レースガスを要件にしていたり、カタログ上の最高出力を低い方に偽っていたというもの。ベースモデルの2倍の価格だったそうです。事実上の市販レーシングカーでした。データシートを見ると、圧縮比が12.9:1ですから、一般のハイオクガソリン程度では、まず回らないでしょう。