Tri-Power その2

以前にも一度書きましたが、今回購入したC3は、Tri-Powerという名前のキャブレターが付いています。Holleyの2バレルキャブレターが3つ付いているからTri-Power。V8なので、2か4か8ならわかりやすいのですが、3個、あるいはバレルで数えても6。これ、どうなっているの? と思うでしょう。

これがTri-Power。


これは、真ん中のキャブが低回転を担当し、エンジン負荷が高まると、前と後ろのキャプレターも動作し始める仕組みです。低負荷時に2バレル。高負荷時には2+4で6バレルになるというわけです。低回転時でも流速を確保し、かつ高回転時の流量も確保する仕組み。

もともと、Holleyを代表とするアメリカ車の4バレルキャブレターは、2バレルがプライマリー(低負荷時)、残りの2バレルがセカンダリー(高負荷時)にという2ステージキャブレターです。この場合、低負荷時に2バレルで、高負荷時は2+2=4バレルです。バレルの数で言えば2倍になります。
Tri-Powerの場合は、低負荷時に2バレル、高負荷時に2+4=6バレルなので、バレル数は3倍になるという理屈。

Corvette Centralの技術解説ページには、Tri-Powerについて以下の記述があります。
”When the carburetors are set up properly, the feeling of an additional four barrels opening is exhilarating. The acceleration rate is similar in a Corvette with a supercharger or nitrous.”
(キャブレターが正しく調整されている場合、残りの4バレルが作動し始めたときは、スカッとする。その加速は、まるでスーパーチャージャーかニトロを装備したコルベットのようだ。)
とあります。
一方で、同じ技術ページは、Tri-Powerの調整手順を長々と解説しおり、きちんと調整されたTri-Powerが少ないことを述べています。

私は若いころはインジェクション至上主義でしたが、性能ではない部分の魅力を理解できるようになった今、複雑だけどうまく調整出来たら素晴らしいという機構は趣味の対象としてピッタリだと思っています。
これの調整で悩むのも、楽しみの一つ。