エージェントの報告よれば、タイヤは山があるものの古い。交換を推奨、ということでした。そこで新品のタイヤとホイールも購入してコンテナに積んできてもらうことにします。今は70年代風味の社外ホイールが付いていて、これはこれでカッコいいと思うのですが、
新たに購入するホイールは当時物のリプロダクトにして、クラシックとしての雰囲気を出す方向にします。
当時のOE(Original Equipment)デザインのホイールはRally Wheelと呼ばれ、今でもリプロダクト品が購入可能です。
このホイールは、68年式とそれ以降で幅が異なります。68年式は7インチ、69年式以降は8インチになります。68年式のホイールはたった1年間だけしか作られなかったわけですが、リプロダクト品はちゃんと68年式用も用意されています。
以前にも何度か書きましたが、Corvetteは世界一維持の簡単なクラシックカーだというのは、こういうことです。OEデザインのリプロダクトの入手が非常に簡単だし安い。Rally Wheelはスチールホイールにクロームパーツで加飾したものですが、1台分で$660という値段。
そして、肝心のタイヤです。
最初は一般的なスチールラジアルのホワイトレターにしようと思っていました。
この分野は、BF GoodrichのRadial T/Aがポピュラーですが、日本で入手が簡単すぎて面白くない。そこで、日本でほとんど見かけないけど、有名なアメリカブランドのMickey Thompsonを考えていました。でも、これだとやっぱり70年代中盤以降の雰囲気なんですよ。
せっかくオリジナルに近い状態にするならば、タイヤもオリジナルデザインにこだわることにしました。日本車では考えられませんが、Corvetteは新車時に装着していたタイヤが、今でも手に入ります。
68年当時に装着されていたのと同じデザインですから、もちろんバイアスタイヤです。ただし、多少の改良が施され、現代の技術で生産されています。性能的にはスチール・ラジアルタイヤと比べものになりませんが、サーキットを走るわけでも高速道路を非社会的なスピードでぶっ飛ばすわけでもないので、問題ありません。
435hp超のエンジンにトラクション・コントロールも横滑り防止装置も付いていないのに、さらにバイアスタイヤで大丈夫なのか、という疑問もありますが、50年前の人はそれで乗っていたのですから、私が乗れないわけがない(と思う)。
68年式に装着されていたタイヤは何種類かありますが、その中から選んだのがこれ。
当時の写真と同じ。今では見かけなくなったバイアスタイヤのシェイプもクラシックらしい雰囲気を出しています。
さすがに同等サイズの現代ラジアルタイヤよりだいぶ高いのですが。
このほかに,オプションだったホワイトリボンやレッドリボンのタイヤも選べます。
コルベットは年式によって装着されているタイヤが異なりますが、ほとんどのものが今でも入手可能です。
新車の性能品質や販売台数では色々と言われているアメリカの自動車産業界ですが、日本が絶対にかなわない、というか日本にはそういう文化そのものがないと思うのが、クラシックカーを維持するための文化。
日本ではたくさんの労力をかけて発売当時の雰囲気を維持するようにしているクルマでも、タイヤだけはあきらめざるを得ません。でもアメリカでは、クラシックカーの愛好家向けにかなりの種類の当時デザインのタイヤが今でも生産されているのです。
私が毎週参加している日曜日のミーティングで、旧車に乗っている人がタイヤがなくて困る、とボヤいているのを耳にしますが、Corvetteに関して、そういう心配は無用。
タイヤだけではありません。Corvetteは、今でもほとんどのパーツが新品で入手可能です。しかも、パーツにデートコード(日付)が入っているものは、現代に作られたものでも当時の日付がつけられている物もあります。それだけにコンクールなどではリプロダクトのパーツではなく、本物の当時のパーツを使っていることが高い得点につながるし、それを見極める審査員も大変です。