ブリーザーがフードに当たる可能性が、まったく想定できなかったのは何故なのか、わかりました。
本物のGT40とGTD40では、エンジン搭載位置が違うんです。GT40の方が低い。
この写真は手持ちの資料本から。当時のMk1の写真ですが、ドライバー後ろのブリーザーの位置に注目。カバーから20cm近く持ち上げています。
同じ本から、GT40Pの写真。GT40PはFIAのホモロゲーションを取得するために販売された量産モデル。ブローバイ対策だと思われますが、バルブカバーに大きな継ぎ足しをして、ブリーザーが付いています。さらにキャブレターの位置も低い。Mk1のクアッド・キャブレターのモデルは、キャブレターの上に屋根が付いていますが、私のGTDでは、この位置に屋根を付けるとフードのスクリーンと干渉します。オリジナルのGT40のエンジン搭載位置は、これだけ低いのです。オリジナルのGT40に触れていたり、こういう写真を見慣れていたので、なんとなくエンジンの上は空間があるものだと思い込んでいました。
では、なぜGT40とGTD40でこれだけエンジン搭載位置が違うのか。理由はトランスアクスルにあります。
この図は、オリジナルのMk1に使われているZF 5DS-25トランスアクスル。インプットシャフトが、ドライブシャフトの下を通っているタイプです。
一方、こちらはGTDに使われているルノーのUN1トランスアクスル。インプットシャフトがドライブシャフトの上を通っています。
タイヤの直径は、GT40もGTD40も大体同じだとして、ドライブシャフトの等速ジョイントに極端な曲がりを付けないように配置すると、必然的にUN1を使っているGTD40のエンジン搭載位置は高くなるというわけです。
GTD40のエンジンルームを眺めた時に、どうも腰高な印象があったのは、これだったのです。
ブリーザーの干渉から、こんな発見に思い至るところが、この手のレプリカ車の面白いところだと思います。
さて、スポーツカーやレーシングカーは出来るだけエンジン搭載位置を低くするというのがセオリーですから、GTD40も低くしたくなります。そのためには、トランスアクスルを変更するのが大前提なわけですが、幸いなことに、ZF 5DS-25は今でもQUAIFEでQBE62Gという改良型が販売されています。価格は£8,225。無くなってしまう前に、買っておいた方がいいかな。