まずは、STACKのタコメータを動くようにします。
実は、風呂に入っているときに、突然閃きました。もしかしたら、MOTECのAUX端子はプルアップ抵抗が内蔵されていないのではないか?と。
プルアップ抵抗というのは、こういうの。明示的に論理のHiを作る電圧です。ST8130の内部インピーダンスが不明ですが、こういうのは大抵1kΩです。
これが当たりでした。プルアップ抵抗を入れてみたら、タコメータが反応しました。しかし、回転数が合わない。MOTECの表示している回転数よりだいぶ低いです。ST8130は正しく3気筒に設定されているのは確認済み。
もしかしたら、タコメータが壊れているのかも?と思って、秘密兵器を投入しました。
会社の同僚から借りたタコ/スピードメータ・チェック用のバルス・ジェネレータ。この同僚、趣味で自動車関係の電子部品を自作しているのです。彼ならもしかしたらファンクション・ジェネレータを持っているかもしれないと思って聞いてみたら、自動車専用のものを自作していました。これ市販品ではなく、手作りなのです。なんというクォリティの高さ。これを使って、タコメータに直接信号を送り込んでみると。
うむ。正しく動作します。というわけで、タコメータは正常でした。となると、問題はMOTECにあるのかもしれません。
とりあえず、タコメータ用の出力をオシロスコープで観察してみます。
プルアップ抵抗は正解でしたね。綺麗な12Vの矩形波。コンピュータの出力ならではの波形です。コイルのマイナス端子から取る、実際の点火信号だと、こんな波形は出ません。
一見、問題ないように見えます。しかし、これで原因がわかりました。これは1000rpmでエンジンを回しているときの波形です。周波数は16.7Hz。すなわち、1回転に1回のパルスしか出ていません。
おかしい。MOTECの設定は、1スパーク毎に1パルスの設定しているのに。
3気筒エンジンなので、2回転に3スパークのはず。そこで、上記を1.5に設定してみました。
すると、1000rpmで25Hzになりました。
この時の、ST8130の表示も1000rpm。エンジン回転を2000rpmや3000rpmにしてみて、それぞれでMOTECの値と一致することを確認。
なんだよー、MOTECの説明が間違っているんじゃん。まったく。プルアップ抵抗の事もそうですが、MOTECは本当にドキュメントがダメです。意味不明だったり、間違っていたり、記載がなかったり。色々と自分で試して確認していくしかありません。
とにかく、タコメータはこれで解決。
次はサーモスタットが開かないトラブル。
まずはサーモスタットを外します。いわゆる入口サーモです。
公道走行用のクルマであれば、新しいサーモスタットに交換するのが当たり前ですが、これはレーシングカーなのでサーモスタットは抜くことにします。ラジエターが前にあって、ジムニーと比べると冷却系の距離がだいぶ長いので、圧損を少しでも減らしておくべき、と考えたことも理由の一つです。オーバークールとなる場合は、ラジエターの一部を塞ぎます。
クルマによっては、サーモスタットを抜くと出口と入口が短絡してしまうものがあるのですが、このエンジンは、出口と入口は完全に分離しているので、問題なさそうです。
ただ抜くだけだと、ゴムパッキンがなくなって、漏れる可能性があるので、サーモスタットのハウジングだけは付ける必要があります。そこで、サーモスタットをサンダーで切断して、バルブ部分を切除しました。
これを、このように戻して、サーモスタット不良の対応は完了。
今、この記事を書いていて思い出しました。この辺の配線を元に戻すのを忘れていました。次回、配線を戻すのを忘れないようにしなければ。