クラッチのスレーブ・シリンダーは、元々付いていたのと全く同じものを購入したのに、なぜか継手部の規格が異なっていて、付きませんでした。元のものは、インバーテッド・フレア(IF)でネジ径はUNF3/8-24。新しいのはAN3。
アダプターを買うか、それとも配管をAN3で作り直すか、悩んていたのですが。
新たに取り付けたTiltonのマスターシリンダーに、AN3オス-UNF3/8-24のIFメスのアダプターが付属していたことに気が付いて、使ってみたら、ぴったりでした。
それにしても、この辺の規格が多すぎ。私が知っているだけでも、
・M10x1.0 IF
・M10x1.25 IF
・UNF3/8-24 IF
・M10x1.0 コンケーブ
・M10x1.25 コンケーブ
・AN3
自動車メーカは、もう少し、規格を整理してもらえないでしょうか?AN3で統一してほしいところですが、自動車メーカとしてはAN規格は値段が高すぎるのかもしれません。
クラッチは偶然解決できたので、次はブレーキ。
新しく作っもらったブレーキホースは、結局AN3のホースにAN3のバンジョーを付けたものでした。それなら、マスターシリンダーからキャリパーまで全部AN3で統一することができるのですが、そのためには、またまた継手を買い足さなければならず、お金がかかってしまいます。AN3で統一したい欲求を押さえて、あえてアダプターを使って、マスターシリンダー側はバンジョーにしておきます。
カドウェルが製作された1990年代当時は、今ほど海外からの部品調達が簡単ではなかったのでしょう。そのため、国産乗用車の部品の流用と、英米のレーシングカーのパーツが混在していて、ホースの両端で異なる規格が使われていようになってしまったのだと思います。
そして、さらに話がややこしいのは、元のホースのバンジョーは薄型で、新しく作ったホースに付いているバンジョーは標準厚のもの。なので、バンジョーボルトも変更が必要です。
バンジョーボルトの長さ確認。
左がフロントブレーキラインのバンジョーボルト。右がリアブレーキラインのバンジョーボルト。本来、クラッシュ・ワッシャーはバンジョーボルトの上下に入れるのですが、これは長さ確認のためなので、まとめて重ねています。
中央の錆びているのが、元々付いていたフロントブレーキラインのバンジョーボルト。たぶん、ブレーキフルードの中にかなり水分が混じっていたのでしょう。それでバンジョーボルトは錆々、フルードはゲル化、そしてマスターシリンダーは固着してしまったのだと思います。おかげで、ブレーキ系の8割のパーツを交換するハメになりました。
この錆びているバンジョーボルトは、少し短いです。これが薄型バンジョー用のボルトです。
今回購入したのは、フロント用の一本だけです。リア用は錆びていないので再利用しますが、長さは丁度良いです。薄型バンジョーが使われていたときには、クラッシュ・ワッシャーを2枚余計に入れて、長さ調節をしていたようです。しかも、このバンジョーボルトは、UNF3/8-24だと思われます。
何年か経過して、私以外の人がこのカドウェルの整備をするとき、ネジの規格が統一されていないことで、一体どういう事なんだと文句を言うでしょう。でもこれ、私のせいじゃないですよ。元々、そういうように出来ていたのです。
それから、戻り作業が一つ。
実は、キャリパーのビストンを逆向きに組んでいることが発覚しました。
これが間違えている向き。
正しい向きはこう。
このBlogを読んでいる方から、指摘をいただいて発覚したものです。
考えてみれば、この方がパッドとフルードの間に空気層があって断熱効果が高いです。一つ言い訳をすると、元々付いていたアルミピストンは面でパッドを押していたのですよ。なので、何の疑問も持たずに同じ向きにピストンを入れてました。以前に整備していた人が、間違えていたのでしょう。
これ、四輪とも2ポッド・キャリパーだったから、1時間ほどで済みましたが、最近の8ポッド・キャリパーなんかだったら、泣きますね。例えば、フロント8ポッド、リア4ポッドだと、合計で24個のピストンがあるわけで。気が遠くなりそうです。でも、整備業界にしてみれば、その分整備費用を取れるわけで。もしかしたら多ポッド化を流行らせているのは、案外、そういう理屈かもしれません。