今年も参戦してきました。
うちのチームは、今年で参戦9年目になります。最初は右も左もわからない状態でしたが、今では準備作業も、ほぼルーチンワークとなって、準備に追われることもなくなりました。
前日の練習走行は、何事もなく終了。車検も免除されていたこともあって、余裕で準備を終えました。
そして決勝当日。レースの朝は早いのです。この時間のピットロードを眺めながら、これから始まる事を考えるとワクワクします。
私はリーダーミーティングがあるため、朝4時半に富士スピードウェイ入ります。毎年、御殿場のビジネスホテルに止まっていますが、朝食付きなのにホテルの朝食を食べた事がありません。
スタートは午前8時ですが、台数が多いので6時10分からクルマをピットから出し始めます。
スタートグリッドにクルマを並べている間、ピットロードでは仮装した人達がウロウロしています。
K4-GPのスタートはいわゆる変則ルマン式なのですが、そのスターター員は
「サーキットにふさわしくない恰好をしている事」
というルールがあるため、仮装することがお約束になっています。そして最近では、スターター員だけでなく、仮装して歩き回る事を楽しむ人達も出てきて、ピットロードはカオスな様相を呈してきました。
これが、K4-GPが、他の軽自動車耐久レースと異なり、K4-GPたらしめている大きな要素だと思います。このお祭り的雰囲気は、K4-GPにしかありません。
今年が初めてだと思うのですが、仮装した人たちの集合写真の撮影が自然発生的に始まりました。
うちのチームのスターターは、中央のドナルドです。この時点で、すでに全員がフレームに収まっていませんが、この後も、どんどん人が増えて、予想外の大規模になりました。
このとき、コース上ではオフィシャルと各チームの担当者が一生懸命クルマを並べているのですが、ピットロードではこんな事をやっていたのです。
クルマがスタートグリッドに並べ終えると、そのお祭り騒ぎがピットロードからコース上に移動します。130台くらいのクルマが並んでいるので、富士スピードウェイの長い直線のほぼ8割を占めて、スタートドライバー、チームメンバー、仮装した人などがコース上を闊歩します。
うちのチームのドナルドと、ドロンジョの2ショット。
このときは、たまたま撮影したのですが、レース終了後、この2名が本日の仮装賞を受賞することになります。ドロンジョが1位、ドナルドが2位です。
そんなこんなで、スタート前のK4-GP独特の雰囲気を楽しんだ後、レースがスタートします。
スタート直後、2ラップ目にして、うちのチーム(#127)は6位です。
実は、うちのチームは実力的に上位に入ることはまず不可能。でも、スタートグリッドで先頭を取って、スタート直後だけでも上位に名前を連ねようと、毎年挑戦しているのです。運よくラップリーダーを取れたこともあったのですが、今年は6位に終わってしまいました。
このあと、順調に順位を落として、例年と大体同じ位置に落ち着くのに、そんなに時間はかかりません。
本日の路面コンディションはドライ。想定以上の燃料消費量に悩みながらも、順調に周回数を重ねていましたが、スタートして3時間後に他車と衝突。フロントバンパーを失くした状態で戻ってきました。バンパーは、今年新しくしたばかりなのに、練習走行の2時間と合わせて5時間の命でした。
すぐさま、応急処置を施しますが、それなりに時間がかかるので、この時点でほとんど最後尾まで順位を落としました。
うちのチームは、順位は振るわないのですが、IT化はおそらく一番進んでいます。
リアルタイムで、GPSによる走行位置、速度、ラップタイム、燃料消費量、オンボードカメラ映像がピットで見られます。しかも、ピットからドライバーへの指示はテキストメッセージです。
GPSによる走行位置はインターネット経由で、スマホでも見ることが出来るので、自分のチームのクルマがコース上のどこを走っていて、ラップタイムが何秒なのかをレストランで食事中でもリアムタイムにモニターできます。
なぜ、こんなにIT化が進んだのかというと、人手不足解消のため。うちのチームはお手伝い要因がいません。他のチームはパドックでバーベキューをやったりしているのですが、うちのチームはドライバーしかいなくて、バーベキューどころか、ラップタイムを記録したり、サインボードを出す余裕がないのです。でも、これがあれば、必要な情報は全てピット内でやりとり出来るので、炎天下の中、サインボードエリアで暑さに耐えながらサインボードを出す必要もないし、ピットとサインボードエリアとの間を往復する必要もありません。
車載カメラの画像がこれ。
左側は燃料消費計、右側はコックピット映像。
コックピット映像がリアルタイムで見られるというのは、特に耐久レースだと、走っていない時間もレースに参加することが出来て良いです。
あるとき、ドライバーが左手に何か持っていることを発見。どうやら、何か外れたと思われ。
『ストレートで手に持っている物を見せろ』と指示。
以下ピット内であーだこーだと協議開始。
「何だろコレ。」
「GPSユニット?」
「いや、それはここにちゃんと付いているのが映像でわかる。」
「スマホのバッテリーじゃ?」
「でも、データや映像は全部届いている。」
「どうする?ピットに入れる?」
「あ、判った。ラッチの金具だ。」
「それ、外れたら問題ある部品?」
「いや、大丈夫。次のピットインの時に一応確認するけど」
『ラッチの金具と判明。問題なし。そのまま走れ。』とドライバーへ指示。
まるで、宇宙船にトラブルが発生した時のNASAみたいに、ピット側もドライバーを助けることで、参加の一体感が得られます。
燃料消費量に一喜一憂し、燃料を抑えろとか、ガンガン行けとか指示を出し、一つ前の順位のクルマを抜いたり抜かれたりと、下位ながらもレースを楽しんで、レースは淡々と進み。
ピットを共有しているチームが1位を走っていて2位と数秒単位での争いをしていることに興奮したり。終盤では燃料不足でピットストップしているクルマを抜いて順位が上がったりとかしながら、ついにゴール。
チェッカーが振られるとき、たまたま1位のクルマのすぐ後ろを走っていたので、ゴール後には、ちゃっかり1位のクルマの隣という偉そうな位置になっちゃいました。(1位は右側のクルマ)
残念ながら、ピットを共有していたチームは、最終周でガス欠で1位を逃しました。
まあ、うちのクルマも耐久レースのドラマを感じさせる貫禄だけはあります。
(隣の199番が今回の総合優勝車)
ま、本来のレースの出来はともかく、いろいろとドラマがあったし、仮装賞という、とにかくうちのチームとして初めての賞をもらえたわけだし。今年は充実したK4-GPでした。
(仮装賞のトロフィーの写真は、ブレちゃったので後でちゃんとした写真を載せます。)