何度かミーティングでお会いした方が、Z4を購入されて、先日のダムサンデーでお披露目していました。茶色っぽい外装色にホワイトレザーの内装という、とてもオシャレな仕様になっていました。
その方が、コーディングにチャレンジ中という事で、少し話を聞いたのですが、ちょっと興味を持ったので、お金がかからない範囲で、チャレンジしてみました。
結論を先に書くと、やはり数千円の投資が必要なことがわかったのですが・・・
コーディングとは、車両のソフトウェア設定ファイルを変更して、機能を追加したり、変更したりする作業のことを言います。コーディング、すなわちCodingとは、本来の用語としては、基本的な仕様やフローチャートなどから、実際のソフトウェアのコードを書くことを言いますが、なぜかBMWの世界では、設定ファイルの変更のことをCodingと言います。
最近のクルマは、ほとんどがこの機能を持っていて、通常はメーカが輸出仕向地の仕様に合わせるためだったり、オプションの有無などを設定するために使います。コルベットの場合は燃調や点火時期テーブルの書き換えまで出来てしまうのですが、BMWの場合は、エンジン制御そのものには踏み込まないようです。
前述のZ4の方が教えてくれたのはCarlyという、スマートフォンのアプリから設定変更するものですが、これはアプリがそこそこ高額なうえに、ハードウェアも別に必要になるので、少しお金がかかります。
そこで、色々と調べたところ、NCS Expertというソフトウェアを使って設定ファイルの読み出しと書き込みが出来ることがわかりました。この手順については順序だてて説明した資料は、ほとんどなく、ネットを検索しまくって断片的な資料を繋ぎ合わせて使い方を理解するしかありません。そういうのが手間な人は、Carlyを使う方が良いでしょう。
さて、これを実行するには、OBD2コネクタを介して車両のコンピュータにアクセスするわけですが、通信プロトコルの変換アダプタが必要になります。BMWの場合、これが非常にやっかいで、年式違いや型式違いによって通信に必要なアダプタが異なります。
手元にELM327チップを用いたOBD2アダプタがあるので、試してみました。上のモデルが有線でUSBに接続するタイプ、下のモデルはBluetooth接続のタイプです。
残念ながら、ELM327チップでは、E89型Z4に接続できませんでした。当然ですが、OBD2のDTCは読み出せるしリセットも出来るのですが、いわゆるコーディングのデータは読み出せません。ネットを検索すると、古いBMWではELM327でコーディング出来ているのですが、最近のものではダメです。
Z4のブレーキメンテ用のコードスキャナも持っているので、それ経由でPCと繋げられないかと考えて試したのですが、こちらも撃沈。
E89型Z4の場合、K+DCANと呼ばれるアダプタが必要みたいなのですが、CANの入門書を軽く眺めてみたいだけでは、KCANとかDCANというのが、どういうプロトコルなのかわかりませんでした。ただ、仕組みは知らなくても、K+DCAN対応と書かれているアダプタを購入すれば出来るわけです。しかし、このアダプタが大体5千円~1万円くらい。ちょっと試してみるには過ぎた金額なので、今回はここまで。
今年の1月に亡くなった友人が、生前に最新型の5シリーズのコーディングを秋葉原で買ってきたパーツだけでやっていたので(彼は、LSIの設計者であった)、安くできる方法はあるのだと思いますが。残念なことに、その辺の情報を残す前に体調がわるくなってしまい・・・
というわけで、この先は、何かで必要に迫られたときに、再び調査することにします。繰り返しますが、1万~1.5万円くらいの費用をかけることを厭わなければ、難しい作業ではないと思います。今回は、手持ちの機材だけで、なんとか出来ないものかと調査した結果、出来ないという結論になりました。