アテンザを見に行ったり、スマートフォンをいじっていたりと、すっかり550 Spyderのことは忘れてしまったのか?と思ったかもしれませんが、そんな事はありません。なぜ油圧が不安定なのか、いつも考えていました。
ネット調査で、同様の現象は見つからず。同じ現象かも、と思ったこの記事は、結局、ピックアップチューブの中にウェスが入っていたというのが原因でした。しかし、この記事を読み進めている途中でヒントを得ました。原因は、オイルポンプの前なのか後なのかを切り分け出来るのではないか?
私の場合、走行中に油圧は完全にゼロになります。油圧計のセンサは、オイルポンプの直後、フィルタの手前にあります。普通に考えれば、オイルが回っていれば完全に油圧がゼロになるとは思えない。オイルポンプがオイルを吸っていないのかも?
本来、空冷VWエンジンにはオイルフィルターが存在しないのですが、私の550Spyderのオイル経路は改造されてオイルフィルタが付いています。オイルポンプの直後でオイルをエンジンの外に出す経路を作り、そこにオイルフィルターを入れて、エンジンに戻しています。これを空冷VWエンジンの世界ではフルフローオイルシステムと呼んでいます。そして、油圧計は先日オイルフィルターにサンドイッチブロックを付けてとりだしているので、
オイルパン→オイルポンプ→油圧計→オイルフィルタ→エンジン
という経路になります。ここで、オイルフィルタ→エンジンの間に栓をしてみました。これでセルモータを回して油圧が上昇すればエンジンまでの経路は正常。問題はエンジン側になります。
1回につき30秒セルモータを回して3回実験しました。1回目と3回目は15秒ほどで油圧計の針が上昇しましたが2回目は30秒のあいだゼロでした。はっきりしない結果ですが、油圧がゼロになっていたことから、エンジンに戻る前のどこかに原因がある可能性があります。
次に、エンジン側が正常かどうかをみるために、別のポンプを使って直接エンジンにオイルを送り込むことを試みました。
青いタライの中にはオイルが入っています。そこから上がっているホースのところに付いているのは、電動ドリルで回すポンプ。これで次の経路を作りました。
タライ→電動ドリルポンプ→油圧計→フィルタ→エンジン
これで油圧が正常ならば、問題はやはりポンプのところにあると考えられます。しかし、残念ながら、電動ドリルポンプは能力が低すぎるらしく、オイルをエンジンに送り込むことができませんでした。というわけで、これは失敗。
ひとつ可能性があるのは、ピックアップチューブに亀裂があって、エアを吸っているのかもしれないという事。ピックアップチューブは、エンジンケースに付属していたものから交換しているのですが、それは溶接品です。そして、私は取り付け前に溶接に亀裂が入っているか、などの単品での気密性のチェックをしていません。この場合、油面がピックアップチューブの亀裂の位置よりも高い場合は、正常に油圧が上がって、オイルが回って油面が下がるとエアを吸って油圧がゼロになってオイルが回らなくなる。しばらくすると、オイルが回らないことで再び油面が高くなりオイルを吸えるようになって油圧が上昇する、を繰り返すのではないかと考えると、これまでの油圧の挙動も説明がつきます。そうだ、これに間違いない。
という推理の元、三度目のエンジン降ろしをしました。
そしてエンジンをバラし始めたのですが、その前に、ピックアップチューブの気密性の確認だけは事前に実験してみました。
オイルポンプ側を塞いでピックアップチューブに圧縮空気を入れてみます。あれ?ちゃんと圧力が上がり気密性があります。もしかしたら圧縮方向ではふさがって、真空方向では開く亀裂の可能性もあるので、ピックアップチューブを口で吸ってみました。こちらも、ちゃんと気密性が保たれているようです。本来ならMighty Vacでバキュームテストをするべきなのですが、口金のアダプターを作らなければならないので、今日は口での確認に留めましたが、多分問題はなさそう。
となると、うーん・・・
オイルポンプなのかなぁ。しかし、前のエンジンからそのまま持ってきているだけで、それまでは正常稼動していたわけだし。そもそも、多少磨り減っていたところで油圧ゼロはないだろうし。
わけわからないです。オイルポンプは、そう高い部品ではないので(6000円くらい)、念のために新品に交換するとしても、何か釈然としません。
エンジン内のプレッシャー・レギュレータ系だとしても、やっぱり油圧ゼロはないよねぇ。
なんで、よりにもよって、こんなレアケースのトラブルが、私のところに。そもそも、セルモータで油圧がまったく上がらなかった理由は何?ピックアップチューブが正常だとして、なぜオイルが吸えなかったの?
うーん、さっぱりだ。