当初の予定では、正月休み中にエンジンを降ろしてバラして計測して部品の発注までするはずでしたが、全塗装の完成が遅れたので、作業できず。
暇になってしまったので、その先の作業予定だった配線引きなおしについて、計画を練っています。
線材は、昨年の暮れの時点で入手済み。
アメリカのPAINLESS社製の汎用ワイヤハーネスキットです。これは、17回路のノスタルジア・ハーネスというタイプ。その名称が示す通り、クラシックカー/ホットロッド用のもっとも基本的な回路構成となります。電子制御を一切持たないエンジン、必要最低限の灯火類、基本的な計器用配線だけが含まれます。もっとも基本の配線ですが、550 Spyderに適用する場合、キットに含まれている電気式チョークやラジオの配線なども不要になります。
これは、PowerBraidという商品名の、配線保護材のキットになります。
ワイヤハーネスを自分で製作する場合に重要なのは、こういう保護材をきちんと作ることです。一番悪い例だけど、多くの人がやってしまうのは、ビニールテープでグルグル巻きにして作ったハーネス。あれは時間の経過によって剥がれてきて、剥がれた部分の粘着材や染み出してきた粘着材でベトベトになります。絶縁テープは、どうしても使わなければならない箇所は当然あるのですが、その場合は粘着テープではなく自己融着テープを最小限に使うべきです。もし可能であれば、熱収縮チューブの方が良いです。
それから、プラスチック製のジャバラの配線材も入手しやすいので使ってしまうのですが、あれも低品質の物は経年変化でバリバリに破損します。それにエッジが鋭いので特に冬場は作業中に手を怪我することが多くて、出来るだけ使わない方が良いです。特にホームセンターで売っている物はメーカ不明のものが多くて、品質の良し悪しが判断しににくいので、使わないほうが良いでしょう。
ワイヤーハーネスのキットは汎用品になります。基本的に回路設計は出来ていますが、一部は車両に合わせて変更しなければなりません。
私の550 Spyderは製造年が古い年式の登録になっているようで、赤ウィンカーでブレーキランプと共用するタイプです。このタイプは、ブレーキを踏んでいるときでも、ウィンカーが点滅するように、ウィンカー優先回路が必要です。アメリカではよくあるタイプで、ハーネスキットはもちろんこれに対応しているのですが、ウィンカー優先回路は、一般的にはウィンカーレバーに仕込まれます。
通常、このタイプのクルマのウィンカーレバーは、このような回路構成をとります
青のラインはブレーキランプスイッチから来ています。ウィンカーレバーからの出力は、前右用、前左用、後右用、後左用と4箇所独立になります。なぜなら、後用はブレーキランプを兼ねているので、前後で共有してしまうと、ブレーキを踏んだ時に前ウィンカーも点灯してしまうからです。そして、ウィンカー点滅時はブレーキランプが出力されないようにするため、ブレーキランプスイッチからの出力がウィンカーレバーによって制御されているのです。
アメリカ車では珍しくない構成なので、ワイヤーハーネスキットは、もちろんこの構成に対応できるようになっています。
しかし、私の550 Spyderに使われているウィンカーレバーは、外観から判断すると1966年式のVW Type1のもので、ウィンカーレバーの回路はこうなっています。
これは、テールランプのウィンカーが独立しているタイプ用のもので、ウィンカーレバーからの出力は前後で共有されています。そしてウィンカーレバーにはブレーキランプと共用したときのウィンカー優先回路が内蔵されていません。したがって、550 Spyderの場合には、ウィンカーレバーの出力とリアブレーキランプの間に、何らかの回路が入れられているはずで、そこの構成が車両が手元にない現状では謎です。
ウィンカーとブレーキランプを共有しているのにウィンカーレバーにウィンカー優先回路を持たない車両のために、ウィンカー優先回路を付加するデバイスがあります。今でも旧車向けに入手可能な製品として知られているのは、LUCAS社のDB-10がそうです。
単純にリレーで構成されているだけで、こういう回路です。
これが使われている場合、フラッシャーリレーの電流はウィンカーレバーを流れるのではなく、この回路に流し、ウィンカーレバーにはただの12Vの電圧をかけるだけになるので、キットのワイヤーハーネスを少し改造する必要があります。
で、せっかくキットを改造するならば、いっそのこと、これをArduinoのリレーシールドで制御して、フラッシャーリレーを廃止してしまおうか、というようなことを考えています。たとえば、これなんかだと1Cが4チャンネルあるので、上記のDB-10と同じ動作をさせることができます。さらに、リレーのON/OFFタイミングをArduinoで制御すれば、フラッシャーリレーを廃止することができるし、ハザード機能も追加できます。
上記のやつは、ArduinoのI/Oチャンネルを1対1でリレーと対応させているので、I/Oチャンネル数を無駄に消費してしまうのですが、I2Cのシリアル接続できるものもあって、これを使えばリレーのチャンネル数は、いくらでも増設できます。
Arduinoを1台、クルマに搭載しておけば、今後、何かと便利かもしれないので、DB-10のような単純にリレーではなく、こういったマイコンで積極的に制御する方向で検討中。