SR-71 Owner’s Workshop Manual

この週末の大雪の予報を聞いて、家の中で過ごすためにAmazonに注文しておいたのはコレ。
SR-71 Owner’s Workshop Manual
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HaynesのGT40 Workshop Manualの紹介の記事で「買っちゃおうかな。」と書きましたが、買っちゃいました。
先日購入した二玄車のフォードGTの本は、この種の本にありがちなのですが、開発の時に誰がどのように関わったか、誰がいつレースに出て結果はどうだったのか、というような事に焦点があててあって、クルマそのものに関する記述はあまりありませんでした。がっかりです。
私が興味を持っているのは人より物。
その点、この本は”Workshop Manual”と謳っているたけのことはあって、人より物に焦点があいいあります。もちろん、「人」や時代背景についも触れてはいますが、その辺の事柄は、他の本にも書いてあります。

ほら、まずこの表紙にもなっている透視図。
子供の頃、こういうのは夢中になって見ましたよね?それで、自分でも書いてみたりしましたよね?
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ECS、すなわち空調システムの概略図。空調システムは、人間様用だけでなく、電子機器の温度調節、燃料温度調節、窓の霜取りまで行っています。冷たい空気は外気から、暖かい空気はジェットエンジンの第9コンプレッサーから得ています。
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これはコントロールシステム。
たとえば、ラダーは左右にそれぞれ40°、エルボンは+35°~-20°の舵角があるが、マッハ0.5を超えるとラダーは20°まで、エルボンの左右差は7°までに制限されるなどという情報が書かれています。
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エンジンの項のこのページではマッハ数によって、エンジン内の空気の流れをどのように変えているかを示しています。
ちなみに、空気力学の分野では、マッハ1のところに不連続点があります。マッハ0.8~1.2の付近では、一部が音速以下、一部が音速以上の流速を持つので、その不連続点のために非常に不安定になります。この領域をTransonicと言いますが、これが、飛行機がなかなか音速を超えられなかった原因です。
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もちろん、この本は一般向けとして記述されているので、専門知識がなくても楽しめるように出来ています。とはいえ、高校の物理程度は概念的に理解している必要があります。でも数式は出てきません。
物語ではないので、興味のある部分から読み始めることができて、手軽です。

“Owner’s Workshop Manual”とはちょっと違いますが、休日の読み物として、ちょっとマニアな素人向けに構造を説明している、良いバランスの本だと思いました。

Haynesのこの種の本は、月に1冊ずつ買って読むのに良さそうですね。
機械が好きな人にはお勧め。