今の自分のクルマの基準は、もちろん所有しているC5Z06なので、V8 Vantageをそれと比較してみます。
まず車体。
C5 Corvette Z06 (2003) | Aston Martin V8 Vantage (2006) | |
全長 | 4,564mm | 4,382mm |
全幅 | 1,869mm | 1,867mm |
全高 | 1,212mm | 1,255mm |
ホイールベース | 2,654mm | 2,601mm |
車重 | 1,413kg | 1,548kg |
全長がコルベットより200mm短かく、車高は40mm高いです。車高の40mmは結構見た目に効いてくるでしょう。ちなみに、近年では低いと言われているトヨタ86の車高は1300mmです。コルベットより90mmも高く、アストンマーチンより45mm高いです。
ホイールベースはコルベットより50mm短いですが、これくらいの違いはあまり変わりません。
それよりも問題なのは車重。コルベットより140kg近く重いです。これは感じられる重さだと思いますが、直接比較をしなければ気にならないはず。むしろ、重量税が高くなるのが問題です。
次はエンジン。
C5 Corvette Z06 (2003) | Aston Martin V8 Vantage (2006) | |
エンジン形式 | V型8気筒OHV16バルブ | V型8気筒DOHC32バルブ |
排気量 | 5.7L | 4.3L |
最高出力 | 405hp@6000rpm | 380hp@7300rpm |
最大トルク | 542Nm@4800rpm | 409Nm@5000rpm |
出力は、ほぼ同じですが発生する回転数が1300rpmも高いです。一方、最大トルクはほぼ同じ回転数ですが、コルベットよりも70Nm近く低い数字になっています。
クルマはエンジンだけで走るのではなく、トランスミッションとタイヤが組み合わされて前に進むのですから、エンジンの数値はそれらと合わせて見なければなりません。
C5 Corvette Z06 (2003) | Aston Martin V8 Vantage (2006) | |
トランスミッション | 6速マニュアル | 6速マニュアル |
タイヤサイズ | F:265/40-17 | F:235/45-18 |
ここで、かなり特性の違いがはっきりします。V8 Vantageはとにかくギア比が低いです。6速なんか、コルベットの4速と5速の中間くらいです。高速走行でもかなりエンジンを回して走るタイプですね。高速走行時の燃費はあまり期待できません。
それと、1速が思い切り低くて、1速と2速の間が開いています。これにより2-3-4-5-6を比較的近くしているのですが、スピダーもこんな感じで1速が思い切り低くなっています。これはヨーロッパ車の特徴なんでしょうか?少しですが、街乗りで1速と2速が開いているのは気になります。
最後にパフォーマンス。なんだかんだ言っても、この数字が全てなわけです。この数字を読み解くために、これまでの数字があるのです。
C5 Corvette Z06 (2003) | Aston Martin V8 Vantage (2006) | |
最高速度 | 275km/h | 282km/h |
0-60MPH | 3.9sec | 4.7sec |
0-1/4mile | 11.8sec | 13.2sec |
最高速は、実はC5Z06の場合、スタンダードモデルの方が最高速は出ます。なぜかというとギア比にあって、Z05の最高速は5速吹けきりで出ます。6速に入れると失速してしまいます。一方、スタンダードモデルの場合、Z06よりもギア比が高いので、5速吹けきりのときの速度が高いのです。Z06は加速を重視したためにギア比の設定に最高速度を出すことが考慮されていません。V8 Vantageは多分6速で最高速度を出す設定ではないかと思います。なにしろ、6速のギア比がコルベットの4速と5速の間なのですから。それでV8 Vantageの方が重量が大きく最高出力が低いのに最高速は高いわけです。
それに対して加速の方は車重が重くトルクが小さいことにより、コルベットよりもだいぶ遅くなっています。0-60MPHの0.8秒差や1/4mileの1.4秒差は距離にすると絶望的に開いています。これだけ違うと圧倒的な差です。
スペック的にはコルベットの圧勝です。しかし、ここまで比較してもなお、V8 Vantageは魅力的です。それはあのボディの美しさと内装の豪華さ。これらはV8 Vantageの圧勝です。そして、スペックを比較してから書くのも何なのですが、動力性能というのはどれも限界値です。このレベルのクルマの限界値を出すことは、一般公道ではまずあり得ません。なので、これらの動力性能の数値は脳内優越感を得るためのものですが、外装/内装というのはそこにあるだけで絶対的に価値があるものです。サーキットでは無価値ですが、一般公道では内装/外装こそが価値があるわけです。
そういう意味で、V8 Vantgeの方が実質所有満足度が高いと言えます。