Reno Air Race 2005

恒例のReno Air Raceに行ってきました。
毎年9月にネバダ州のリノで行われる、飛行機によるレースです。


 

砂漠の中にパイロンを立てて、その周囲をグルグルと回ります。クラスによって一周の距離が異なるようになっています。大体、1レースに5機から10機くらいがレースをします。高度制限が設けられているので、低空で旋回しながらのレースになり、大迫力です。

 


 

レースそのものよりも、実はピットエリアの方が興味深いです。
このように整備中のエアレーサーを間近で見る事ができます。

 


 

エアレースの一番人気のクラスは、Unlimitedというクラスで、その名の通り無制限クラスです。ただしエンジンはレシプロです。
このクラスではP-51ムスタングやホーカー・シーフューリーなど、第2次大戦末期の戦闘機をエアレース用に改造した機体が主流になります。第2次大戦を最後に、軍用機の主流はジェットに移行したので、レシプロ機として最も大馬力で高性能なのは、今でも第2次大戦末期の機体というわけです。しかし、そのまま使うのではなく、翼を短くしたりコックピットを沈めてキャノピーを小さくするなどして空気抵抗を減らしたり、エンジンに現代の技術を導入して当時よりもパワーアップを図ったり、プロペラに最新の設計理論を導入するなど、今でも毎年改良が続けられています。

 


 

残念ながら、敗戦国である日本の機体は終戦時にすべて廃棄されてしまったので、このようなカラフルに塗装を施されて、エアレーサーとなることは絶対にありません。震電などが残っていれば、いいエアレーサーになったのではないかと思います。日本の戦闘機の設計図などは、アメリカの公文書の図書館で入手することができるはずなので、誰かお金持ちが震電の設計図をもとに現代の技術を導入したアンリミテッド・クラスのエアレーサーでも作ってくれないかな。

 


 

ジェット機のクラスもあって、それにはロシア製のL-39アルバトロスという機体が使われます。ジェットエンジンですが、レシプロ機のアンリミテッド・クラスよりは少し遅いです。

 


 

レースの合間には、エアショウが行われていて、今年のメインはカナダ空軍のスノーバーズと、アメリカ空軍のサンダーバーズでした。
スノーバースは9機編隊によるダイナミックな演技で非常に美しい演技を披露してくれます。

 


 

サンダーバーズは、アメリカで大人気の曲技飛行チーム。スノーバーズとは対照的に、高速でエキサイティングな演技を行います。

 


 

これはFormula Oneと呼ばれるクラス。エアレースのために作られた機体を用います。非常に小型軽量の機体で、このように1人でらくらくと運べます。

 


 

こちらはバイプレーン(複葉機)のクラス。複葉機というとクラシカルなイメージがあると思いますが、小型で翼面積が大きく取れるので、アメリカでは今でもアクロバット機として作られています。ただし、空気抵抗が大きいので、エアレース向きではありません。

 


 

他にも、第2次大戦中のT-6という練習機を使ったクラスや、スポーツ・エアプレーンを使ったクラスなど、様々なクラスがあります。
飛行機を使ったレースは、飛行機が身近な存在であるアメリカならではのものだと思います。プロのエアレーサーという職業はいません。ここに出場している人たちは、これを趣味としてやっています。そう、このエアレースは草レースなのです。雰囲気としては「スターウォーズ・エピソード1」に出てきたレースのシーン、あれにとても近いと思います。偉大なる草レースです。