我が家からクルマで南に1時間のところにある、Watsonvilleという小さな町の市民空港で行われたエアショウに行ってきました。数あるエアショウの中で、私はこのエアショウが一番好きで、もっともアメリカらしいエアショウと言えます。
日本では飛行機と言えば商用の旅客機や貨物機、あるいは軍用機が主ですが、アメリカでは飛行機の数は圧倒的に個人所有の小型機の方が多いです。ですから、マニアの形も違っていて、日本の飛行機マニアは旅客機や軍用機の追っかけであるのに対して、アメリカの飛行機マニアは自分で飛行機を所有し、いじって飛ばすのが主流派となります。こういう文化の違いから、エアショウの形態もずいぶんと異なり、このWatsonvilleのエアショウのように、自分の飛行機を並べて自慢したり、同好の志と情報交換したりする形式になります。
この写真では、飛行機の隣のテントが張ってありますが、これはこの飛行機のオーナーがここに寝泊りをしているんです。どこか遠くから飛んで来て、ここに泊まっているわけですね。
お客さん用の駐機場が用意してあるのも、日本のエアショウと大きく違うところ。エアショウを見に、飛行機で来るんです。ここにもテントが見えます。
こんなわけですから、展示機も個人所有の単発か双発のプロペラ機です。ジェット機は趣味の飛行機としては、あまり面白くありません。
私がいつも欲しいな、と思うのはこういう小型の1人乗りのバイプレーン。バイプレーンは、決して昔の飛行機というわけではありません。前面投影面積が大きいので、最高速が低いとか燃費が悪いなどの理由で商用に使われないだけで、小型で高機動が可能なことから、アメリカでは趣味の飛行機として今でも製作されています。
モノプレーンだったら、こんなのがいいなぁ、と思います。
これはビンテージ機で、1940年代の軍用の練習機です。飛行機はクルマに比べると構造が単純ですし、保管と整備がきちんとされているので、60年経っても現役で飛べます。
上の写真同型機が売りに出ていました。
売値は$61,000。日本円で650万円くらいです。高級乗用車一台分です。アメリカでは普通のサラリーマンが飛行機を趣味にしているのも珍しくありません。上の1人乗りのバイプレーンだと4万ドルから5万ドルといったところです。
飛行機の免許を取るには4千ドルから7千ドル。アメリカでは、飛行機趣味が全然手の届かないものではありません。
エアショウでは、展示だけでなく、ビンテージ機のデモフライトや、エアロバティックと呼ばれるアクロバット飛行も披露されます。滑走路脇には、干草で作ったベンチの観客席が用意してあります。
小さなエアショウですから、ブルー・エンジェルスやサンダーバーズと言った世界的に有名なチームは出てきませんが、単機で様々な曲技を見せてくれます。
こういった、第2次大戦の時の戦闘機も、個人所有です。アメリカは戦勝国ですから、戦争終了時に大量の飛行機が余りました。そしてそれらを民間に放出したのです。そうやって、今でもかなりの数のウォーバードが個人の手元に置かれ、元気に飛んでいます。なかには、レース用に改造されて、エアレースを戦っている機体もあります。
最新の技術を用いて製作されたエアロバティックス機の妙技です。
こういう機体は、最新のジェット戦闘機を遥かにしのぐ機動性を持っています。初めて見た人は、飛行機がこんな動きをするのか、と驚きます。
こういったエアショウは、個人飛行機文化のない日本ではまったく見ることの出来ない形態です。
このエアショウの写真は、Cool Machinesに載せましたので、興味のある方はご覧ください。