2015年12月19日

[コルベット] LLC交換

冷却液を交換します。
151219-01

冷却液には水ではなくLLCを使う最大の目的は何でしょうか?それは防錆です。
現代のエンジンはアルミ合金で出来ています。意外かもしれませんが、実はアルミ合金はとても錆びやすいのです。錆びるというのは、酸素と結合して酸化することなのですが、アルミ合金はすぐに表面が酸化します。ただし鉄鋼と違うのは、この酸化したところが強固な被膜となって、それ以上の酸化を防ぐので、鉄鋼のように赤錆がどんどん進んでいかず、そこで腐食が止まるので心配はないのです。
ところが、何らかの理由により酸化被膜がうまく形成されなかった点があると、そこからどんどん腐食が進行していきます。これを孔食というのですが、アルミ合金は、この孔食を起こしやすいのです。
エンジンやラジエターがアルミ合金になってから、冷却液はこの孔食との闘いでした。現在ではLLCを使うと孔食はほぼ防げますが、LLCの防錆効果は徐々に劣化します。LLCの防錆効果は大体5年とみておきましょう。最近は10年間交換不要としているものもありますが、10年間も初期の性能を保っているわけではなく、防錆効果の劣化は進んでいます。これはアルミ 防錆 LLCなどというキーワードで検索すれば、データを記載した学術論文がたくさん出てきますので、興味がある人は読んでみると良いでしょう。

というわけで、現代のアルミエンジンにおいては、鋳鉄時代よりもLLCの交換は重要です。

LLCは、純正品のDEX COOLを使います。様々な効能を謳ったアフターマーケット品もいろいろとありますが、古いLLCをエンジンから完全に抜くのは無理なので、異なる成分のものが混ざることになるのが心配ですし、自動車メーカでテストされたものが一番安心です。
ちなみに、DEX COOLはGM純正品なのでACDelcoブランドで売られていますが、実はHavolineが開発したものです。したがって、HavolineブランドのDEX COOLもACDelcoと同じです。というか、HavolineからACDelcoに供給されています。

DEX COOLは50:50に希釈して使います。あまり寒くならないから、少し薄めにするのは、防錆効果が落ちるのでダメです。
それから希釈する水に水道水を使うのもダメです。水道水は人間が安全に飲用できるように、塩素などが含まれていますし、身体に影響がないミネラル成分も入っています。これらは、LLCの性能に影響するので、必ず工業用精製水を使います。LLCが5年程度で沈殿物を生成しているトラブルを見かけることがありますが、これらは大抵希釈に使った水道水の成分に問題があると思われます。同じ理由で、水道ホースを突っ込んで冷却系を洗うのもダメです。エンジンをオーバーホールするのでもない限り、エンジン内の水は絶対に完全に抜くことはできないからです。鋳鉄エンジンではよく行われていましたが、アルミエンジンではやってはいけません。

まあ、色々と語りましたが、要するに、アルミエンジンではLLCの交換は非常に重要であり、注意深く行う必要があるということです。

しかしながら、私の場合、前回の交換が2009年の5月だったので、少しばかり長く使いすぎました。まあ、走行距離が少ないので、このくらいは許容範囲内ということで。

C5コルベットの冷却系はエア抜けの良い方だと思いますが、交換後、しばらくは冷却水量の変化に注意します。

走行距離 64,496km

trackbacks

trackbackURL:

Search


Recent Entries

  1. 12月の第3日曜日ミーティング
  2. [コルベット] LLC交換
  3. コルベット バッテリー交換
  4. Google Photosが凄い
  5. 12月のダムサンデーSport
  6. 550 Spyder ハブ・スタッドボルトの交換
  7. ロボット展に行った その2
  8. ロボット展に行った その1
  9. 550 Spyder restoration Vol.1
  10. Black FridayとCyber Monday

アーカイブ