SR-71

好きな飛行機の名前を1機だけ挙げろと言われたら、私は迷わずSR-71を挙げます。他の飛行機と大きく異なるその形。数々の伝説的な性能とエピソード。実用機としては、今でも破られることのない最高速度と最高高度。これらを、コンピュータがまだ電卓程度の性能しかなかった時代に設計したこと。どれを取ってみても、「驚異の飛行機」の資質十分。
そんなわけで、HaynesのWorkshop ManualにSR-71を見つけて買ってしまったわけです。

SR-71はアメリカ在住時に2機を見ています。残念ながら、どちらも展示機ですが。

Evergreen Aviation & Space Museumで見た機体。この博物館はオレゴン州にあります。ポートランドの学会に参加したとき、途中で学会を抜け出してレンタカーを借りて見に行きました。ポートランドから片道1時間くらいだったかなぁ。
SR-71は、大きな機体なので屋内展示だとカメラに全景が収まりきりません。
140223-03

エンジンも展示してあって、とても興味深かったです。エンジンはこの他にも数基あって、それぞれに解説がありました。
140223-02

電子機器が見られないコックピット。座ることはできませんでしたが、おそらくほとんど前は見えないと思います。米ソ冷戦時代、結構、敵国に侵入してようですが、まともなコンピュータも、GPSもない時代に、よくぞ超高速で情報の少ない敵地に侵入して偵察できたものだと思います。
140223-04

コックピットの写真を撮った位置から後ろを眺めたところ。エンジンと翼の繋ぎの部分に応力が集中しそうだけど、大丈夫なのかなぁ、と思ったりして。
140223-01

こちらは、別の機体。
カリフォルニア州のCastle Air Museumで屋外展示されているものです。ここは、元B-52の爆撃隊の基地だったところで、軍用機専門の航空博物館です。
ここには、友人と自家用機で行きました。アメリカでの飛行機趣味は日本とはまったく異なる環境です。その辺の事情はまた別の機会に。
140223-05

屋外展示なので状態は良くないですが、上の写真のように全体が見渡せるのが良いです。エンジンは抜いてあります。
140223-06

この機体は博物館の入場ゲートの前に展示してあるので、入場しなくても見ることができます。これを眺めていたら、自転車に乗った老人が話しかけてきました。
その老人は、SR-71の元整備士だったそうで、私が日本人だと知ると沖縄で勤務していたときのエピソードを語ってくれました。その後、この基地に移って退役した後も、そのままここに住んでいるのだそうです。
140223-07

SR-71は独特の機体形状を持っていて、だからこそあの性能が出るわけですが。
飛行機の、特に軍用機のカタチって理詰めで出来ているように思うでしょ?どんな本を読んでも、そのカタチにはいちいち理屈が付いていますが、本当のところは少し違うのです。
飛行機の特に戦闘機や攻撃機、偵察機などの設計時の最初のカタチは、設計者の趣味です。一番のモチベーションは「カッコいい」ということ。カッコいいカタチを設計して、それに後から理屈をつけます。その理屈で細部を多少変更することはありますが、基本のカタチは設計者がカッコいいと思ったカタチなのです。
アメリカで仕事をしてた時、Lockheed Martin社の機体設計者と知り合いになって、本当のところを教えてくれました。ちなみに彼の愛車もコルベットだったので、その関係で仕事を超えた親交を持つことができました。
アメリカでコルベットに乗っていると、いろいろと得なこともあるんです。