2014年1月27日
GT40 その1
ローカルのCarミーティングで知り合いになった人が、GTD40を購入すると教えてくれました。GTD40は数あるフォードGT40レプリカの中では日本で一番よく知られたメーカーのものでしょう。特筆すべきことは、その人が「本物」のGT40も所有していることです。本物とレプリカ、両方持っていることで、多くのレプリカオーナーが語る「想像との比較」、ではない「本物との比較」がオーナーから聞けます。
私自身はレプリカは本物と瓜二つでなければいけないと思っているわけではありません。本物はすでにコレクター・カーとしての位置にあり、有名絵画などと同様に、そのオーナーは一時的な保管責任者となっているだけで、なるべくそのままの状態で次の人に託さなければならない、といった物だと思います。それに対してレプリカは、オーナーの趣味で好きにいじっちゃって楽しむためのものだと思います。1/1プラモデルとして、本物にできるだけ近づけるのも良し、まったく異なった方向に向かうのも良し、と思っています。
しかし、本物のGT40とは一体どういうものなのかということに興味はあります。比較対象が自分の購入可能な範疇に降りてくることによって、現実的に想像可能なものになってきます。
実は、GT40はかなり好きです。どのくらい好きかというと
「この前のイベントにフォーティーも来ていたよ。」
という会話がされたとき、多くの人はフェラーリF40を想像するところですが、私の頭に真っ先に浮かぶのはフォードGT40なのです。
本物もレプリカも、これまで何度か目にしていますが、あまり自分で所有するということを考えたことはありませんでした。しかし、今回、身近な人からレプリカを購入すると聞かされて、少し調べたてみたらとても気になるようになり、ここ数日はGT40のことばかり考えています。
ついこの前まではアストンマーチンV8ヴァンテージが気になると言っていて、その前は360モデナで、なおかつ上がりのクルマはコルベット・グランド・スポーツのレプリカだ、などと言っているわけですが、まあこういうのは、気になって、調べて、シミュレーションしてみる時期こそ楽しいものなので、節操なく色々と考えてみることにしています。
日本に住んでいると、本物どころかレプリカのGT40を見る機会も滅多にありませんが、アメリカだとちょっとした趣味車イベントに行くと見ることができます。
これから紹介する写真はアメリカ在住時に、モントレーのヒストリックカー・レースイベントでFord Racingがフィーチャーされたときに撮ったものです。
まず最初にGT40 corral。アメリカでは、同一車種を一箇所に集めて展示していることを”corral”と言います。語源は「家畜を入れて囲うこと」です。西部劇を見ていると、幌馬車隊が集まっているところを”corral”なんて言っています。この辺から来ているのでしょう。
この写真のGT40はJシャシーと呼ばれるタイプで、FIAのJ項に適合するために設計されました。一般的にイメージされるGT40はMk.IからMk.IIIのタイプですが、この写真のタイプはMk.IVと呼ばれます。Jシャシーは全部で9台が生産され、うち6台がMk.IVで、さらにそのうちの1台がCan-Am用のG7というモデルになります。
Jシャシーを近くに寄って撮ったのがこれ。
実のところ、このタイプは、デザインにレーシングカー色が強くて、私の好みではありません。まあ、スポーツ・プロトタイプのレーシングカーなので、当たり前の事なのです。
私が気に入っているのは、こっちのカタチ。
GT40にはMk.IからMk.IVまであって、Mk.IからMk.IIIまでがイギリス製、Mk.IVがアメリカ製シャシーになります。そしてMk.IVだけがスポーツ・プロトタイプのカタチで、Mk.IからMk.IIIはスポーツカーのカタチです。
で、じつはよく判らないのが、Mk.IとMk.IIのボディ形状の違い。WikipediaによればMk.Iは4.7Lのマスタングのエンジンで、Mk.IIはギャラクシーのエンジンということになっていますが、ボディ形状の違いについては書かれていません。
何台もGT40を見ていると、特にリアカウルの形状の違いに気がつきます。
こういうヤツと、
わかりますか?
上のゴールドの#5はサイドウィンドウの後ろにエアインテークが飛び出していますが、下の水色の#16は、エアインテークはあるものの、飛び出してはいません。
私はこれまで、水色のタイプがMk.Iで、ゴールドのタイプがMk.IIだと思っていました。
ところが、さらに上の写真にあるガルフカラーの#6。後ろの写真にシャシー#1075、1966年と1968年のル・マン24時間で優勝した、と書いてあります。これもまたWikipediaによると、1966年に優勝したのはMk.II、1968年に優勝したのはMk.Iということになっています。すなわち、同じシャシーで搭載エンジンを変えて優勝したということなのでしょうか。ということはやはり、Mk.IとMk.IIはエンジンの違いで区別するものであり、ボディ形状は問わないということなのかも?
さらによく見ていくと、こういうボディもあります。
リアのホイールアーチ部分の膨らみに注目してください。こちらの紺の#9の方が明らかに膨らんでいます。この違いの区別もよくわからないのです。市販レーシングカーなので、当時のチームによって色々と変更が加えられてこういうバリエーションがあるのかもしれません。
私がGT40で一番気に入っているのが、この#9のボディなのです。もし自分でレプリカを買うときには、絶対にみのカタチだと思っています。なぜならば、このパドックで、こういうのを見ちゃったからなのです。
このタイヤの太さに注目です。リアが膨らんでいるGT40にはこのタイヤが収まっているんですよ。もう自分のZ06に345幅を履かせたなんて言って喜んでいる場合じゃありません。直径と幅はほとんど同じなのでは?と思うサイズです。これにはやられちゃいました。
ちなみにこの#40はレプリカっぽいのですが、エキジビション・レースで上の方の写真のシャシー#1075のル・マンで2回優勝したという由緒正しきGT40と一緒に走っていたので、きっと本物でしょう。そもそも、モントレーのヒストリック・カー・レースにレプリカが出るはずはないですし。
- by arai
- at 22:16