2012年6月24日
上がりのクルマ 番外編3
これまでの記事
上がりのクルマ その1
上がりのクルマ その2
上がりのクルマ 番外編
上がりのクルマ 番外編2
上がりのクルマ その3
上がりのクルマ その4(前編)
上がりのクルマ その4(中編)
お待たせしました。各方面で話題になっている上がりのクルマシリーズです。前回が中編だったから、今回はその4(後編)だろうと思ったあなた。常識にとらわれ過ぎると、新たしい事は始まりません。何事も順番どおりに進むと思ってはいけないのです。
まぁ、本当のところは後編に何を書くつもりだったのか忘れちゃっただけなんですけど。考えがまとまったら、ちゃんと書きます。いつか。
というわけで、今回の番外編はタイヤについて述べてみようと思います。今のところ、上がりのクルマの候補は4台あるわけですが、装着するタイヤのブランドは決めています。
その名はHoosier。
知らない人の方が多いと思いますが、アメリカで少しでもモータースポーツをかじった人なら、皆知っています。
先月のMarine Sonoma Concourse d’Eleganceに出品されていたC2コルベットレーサーも履いていました。
Hoosierは、レーシングタイヤを専門に生産しているタイヤメーカーです。しかしトップカテゴリーではほとんど見かけません。一方で底辺から中間カテゴリーにかけての知名度とシェアは絶大です。すなわち、もっとも身近なレーシングタイヤというわけです。
私がHoosierを履きたいと考えるのは、性能ではなく、そのイメージ。アメリカのアマチュアカテゴリーのレースカーの雰囲気を出したいからです。
とは言え、性能もアマチュアカテゴリーで使用するにはピカイチです。昔、私がレースに出ていたころ、レギュレーションでストリートラジアルの使用が義務付けられているカテゴリーでは、いわゆるSタイヤを使うことになるのですが、たとえストリートラジアルであってもHoosierの使用は禁止されていました。HoosierのSタイヤ(アメリカではD.O.T.approvedタイヤと言います)は、ストリートラジアルとは言え、とてもグリップ力が強く、ほとんどスリックタイヤと同じ性能でした。当時、まだ日本ではほとんど知られていませんでしたが、あるときアメリカから個人輸入したHoosierを使用した選手がいて、ダントツの速さを見せたのです。あわてた主催者は、次戦からHoosierの使用を禁止しました。Hoosierはそういうタイヤなんです。
だから、そういう事情を知っている人が、Hoosierのタイヤを履いているクルマを見ると、ムムムとなるわけです。上がりのクルマは趣味専用のクルマなので、そのくらいマニアックな部分が必要です。そして、
「Hoosierのタイヤなんて珍しいですね」
なんて話しかけられたら、そっち方面に多少の知識があるということで、1時間はウンチクを語ってやろうという目論見です。
ちなみに、Hoosierのwebサイト
http://www.hoosiertire.com/default.htm
どうです? 手作り感たっぷりでしょう。こうやって、あまり宣伝にお金をかけておらず、でもレースをやっている人なら皆が知っている有名プランドということで、「知る人ぞ知る」という姿勢もいいんですよね。
似たようなブランドとして、Mickey Tompsonというのがあります。こちらは、ドラッグレースをかじったことがある人には、結構知られていると思います。
http://www.mickeythompsontires.com/
こちらの方がストリートタイヤのラインナップは豊富。
ただ、Mickey Tompsonはドラッグレースのイメージが強いので、カフェレーサー風の仕上げにはちょっと合わないかな、と。
でも、Rally Fighterに履かせるなら、こっちもいいかもしれません。
いやぁ、上がりのクルマの事を考えるのって楽しい。
ところで、アメリカ車でこれはやっちゃイカンだろうと私は思っているのですが、なぜか多くの人がやってしまっているのが、BF GoodrichのRadial T/Aを履かせてしまっているやつ。
これも、Marin Sonoma Concourse d’Eleganceで見かけたクルマですが、せっかくのデ・トマソ・パンテーラが、このタイヤのせいで台無しです。タイヤ自体の性能がどうこうというのではなく、Radial T/Aを履くことで、タイヤ選びを適当にやったというオーナーの姿勢が見えてしまうのです。Radial T/Aは、驚異的なサイズラインナップですし、値段も安いのでお手軽なんですよ。つい、簡単に手を出してしまう気持ちもわからなくはないですが、その姿勢は確実に見抜かれています。私が審査員だったら、Radial T/Aを履いているということで減点です。
これ、日本でもアメ車ショップが適当に薦めますよね。ホワイトレターでアメリカ車っぽい雰囲気になるので。でもこういうアメリカ車に乗る人は、その雰囲気も含めて気に入っているのだと思うので、アメ車ショップの言いなりにならずに、よく調べて考えてみることをお勧めします。
とは言え、白状すると、私も学生時代に乗っていた79年式のファイヤーバード・トランザムにはRadial T/Aを履かせていました。若気の至りってことで。
- by arai
- at 20:29