2011年2月20日
2011 CorvetteZ06 vs. 2011 Shelby GT500 vs. 2012 Nissan GTR
Motor Trend誌が、
2011年モデル Corvette Z06
2011年モデル Shelby GT500
2012年モデル Nissan GTR
の比較テストを行いました。
アメリカでは、毎年6~7月ごろに翌年のモデルを発売するので、2011年モデルとは今販売中のモデルのことで、GTRの2012年モデルは今年の夏から発売するモデルのことです。日本でも最近GTRのマイナーチェンジが行われましたので、おそらくそれと同等のものだと思います。Videoの中でも"New version"と言ってます。
私はコルベットファンなので、当然コルベットをGTRと比較したときにどうなのかが気になりますし、神奈川に住んでいるコブラファンのあの人は、Shelby GT500が気になるでしょう。そして他の多くの日本人は、外国のメディアがGTRをどう評価するのかが気になるところだと思います。
まずは加速テスト。
次は、プロドライバーによる、定常円旋回、8の字等、アメリカの自動車雑誌では定番の数値テストとトラックテスト。
数値的には、すべての値でGTRが勝利しています。それに対してZ06は僅差。少し離れてGT500というところ。
3台の価格、パワー、重量を比較してみましょう。価格はオプションを含むこのテストに使用した車両のアメリカ販売価格をUSD1=JPY83で換算しています。パワー/重量比はアメリカhp表示。重量はcurb weight(走るのに必要な重量:エンジンオイル、冷却水、ガソリンは満タン、基準ドライバー1名)をKgに換算しました。
価格 | パワー | 重量 | |
Corvette Z06 | 8,135,000円 | 505hp | 1474Kg |
Shelby GT500 | 4,592,000円 | 550hp | 1724Kg |
Nissan GTR | 7,549,000円 | 530hp | 1768Kg |
ちょっと驚いたのはGTRの価格。調べてみたら、日本でのGTRの販売価格は一番安いものでも780万円。ちなみに、Z06はヤナセ価格で985万円となっていました。テスト車はカーボンオプションなど110万円相当を追加していてこの値段です。まあZ06は日本のほうが高いのは仕方ないと思いますが、GTRが日本の方が高いというのは意外でした。
アメリカは世界で最もスポーツカーが売れる国なので、戦略的価格設定というものでしょう。販売台数はアメリカ方がかなり多いでしょうから、1台あたりの管理費など製造コスト以外の点で安くなるのだと思います。
GTRが重いのは有名ですが、意外にもGT500もかなりの重さでした。GT500の価格が安いのは軽量化にコストをかけていない分もあるのでしょう。ちなみにGT500のリアサスペンションはいまどき珍しいライブアクスルということで、これも価格が安いことに多少の貢献があるでしょうが、それよりも「味」を求めたのだと思います。
実際のところ、テスト数値というのは僅差であれば一般ドライバーにはほとんと関係ありません。しかし、なぜそれを重要視するかと言うと、所有満足度に関係するからです。ほとんどの人にとってどのスポーツカーを選ぶかかというのは、予想される所有満足度で決まります。普通の人は、欲しいと思ったクルマすべてをサーキットや峠道でテストできるわけてせはないですから。
雑誌のテストでどれだけいい成績を残したか。レースの戦績はどうだったか。メーカーの開発姿勢はどうか。どんな歴史を持っているのか。メディアでの露出度は。カタログスベックは、などなど。
たとえば、
GTRは重いですが、すべてのテストで良い数値を出しているのは、日本が誇る自動車ハイテク制御のおかげですね。しかし、一方でFRでもAWDのGTRとほとんど同じ数値を出しているZ06のことを考えると、やはり軽さこそが最大の武器とも言えます。
Nissan GTRはハイテク制御に、Corvette Z06は軽さのためにお金をかけたというところで、そういう開発の方針なども含めてどちらが好きかということになります。
そしてGT500ですがタイムこそ劣っているものの、60年代後期のマッスルカーをそのまま現代に具現化したスタイリングと迫力で、やはり他を圧倒します。スポーツカーは速さが重要なのではなく雰囲気こそが重要なのだと思わせるものがあります。
そして
「いまどき、軽さなんて重要ではない。そういうのはハイテクでカバーできる。誰が乗っても速く走れるコンピュータ制御こそが現代のスポーツカーだ。」
「いやいや、軽さは物理原則だから、絶対的に重要なのだ。軽ささえあれば、ハイテク制御がなくても十分に速いし、なによりコンピュータ制御に助けられているなんて屈辱じゃないか。」
「レースをやるわけじゃないんだから、公道を走るクルマに秒単位のタイムを語るなんてナンセンス。普通のクルマよりも速ければそれで十分。それよりも運転しているときの雰囲気が重要なのだ。」
なんて会話をするわけです。
自動車評論家や自動車メーカの開発の人を除けば、ほとんどの人は実際に運転することはできないので、こういう雑誌のテスト記事などを見て、想像し、さらに調べて、自分なりの意見を作り、延々と語ったりする。Car Enthusiastなんてカッコいい言葉を使いますが、結局はオタクなんですね。昔はカーキチなんて言葉もありました。
テストの詳細は、MOTOR TREND Comparison testで読むことができます。
- by arai
- at 18:51