ショックアブソーバー交換
08/24/2003
このコルベットが工場からラインアウトして以来、多分、ショックアブソーバーは交換された事はないと思われる。特にダンピング不足を感じていたわけではないが、製造年と走行距離を考えると、交換しておくべきだろう。実際、目視点検でオイル漏れが認められたので、交換することにした。
C4用のショックアブソーバーか、ほとんどの大手メーカーから発売されている。何にするか悩んだが、もともとビルシュタインが純正装着であるので、ビルシュタインを選択した。C4用アフターマーケットのショックアブソーバーでは最も高い価格であるが、それでも4本で$300はしなかった。量産効果によるものだと思うが、驚く程安い。
フロントショックアブソーバーの交換。
写真のように、ロワーアームを小さなジャッキでサポートする必要がある。こういう時に、$20程度で買える安売りジャッキが役に立つ。
外したショックアブソーバーと新品のショックアブソーバーを並べてみる。滲んだオイルにホコリが付着してかなり汚いが、ホコリを拭き取ると意外と綺麗な状態だった。旧品にはビルシュタインのマークと共に、ACDelcoのマークも入っている。
新品のショックアブソーバーを組み付ける前に、取り付け面を綺麗に清掃しておく。
部品を外したら、取り付け面は清掃する。これはクルマいじりの基本。
ゴムブッシュ。
意外なことに、古いショックアブソーバーのゴムブッシュは、変形も無く弾力性も失われておらず、見事な状態だった。再利用しても問題なさそうなくらいだ。また、このゴムブッシュの構造は、旧品の方が良い設計で、ショックアブソーバーのロッドが車体側ブラケットと直接接触しない構造になっている。それに対して、新品のゴムブッシュは、組み付けが悪いと、ロッドと車体側ブラケットが直接接触する可能性がある構造だった。
想像だが、このゴムブッシュに関しては、旧品がGMによる設計、新品はビルシュタインが汎用品の中から適当なのを選択したのだろう。時々、アフターマーケットパーツの方が品質が良いと盲目的に信じている人がいるが、これはその考え方が間違いであることの一例だ。一般的に、自動車メーカーの純正品の方が、信頼性の高い設計をしている。
さて、このゴムブッシュであるが、新品のものは構造が気に入らない。しかし、ショックアブソーバーのチューニングは、このゴムブッシュも含まれて行われているのであるから、ゴムブッシュも新品にすべきであろう。というわけで、きちんと新品のゴムブッシュを使って組み付けるわけだが、これが後に、やはり問題になった。詳細については、別途紹介する。
このゴムブッシュ側のナットの締め付けトルクの指定値が不明である。ショックアブソーバーのインストール・マニュアルやコルベットのショップ・マニュアルに記載されている数値は強すぎて、このゴムブッシュを無様に変形させてしまう。そこで、ここの締め付けは、ゴムブッシュの変形量を見ながら、経験的に決めた。
ちなみに、こういう部分の締め付けは、最終的にはタイヤが接地していて、ジャッキなどで車体を保持していない状態で行う。
次はリアの作業を行うのだが。
コルベットのリアセクションには左右輪を同時にリフトアップできるジャッキアップポイントが存在しない。普通のクルマはデフケースにジャッキを当てるのだが、コルベットでは排気管がデフケースを隠してしまっている。
そこで、コルベットの場合には、写真の専用工具が必要となる。これを使って、2本の排気管の隙間から、リーフスプリング中央部にジャッキを当てる。この専用工具は、コルベットのパーツショップで購入することができる。通販だと、Corevette Centralのカタログに載っている。
取り外したショックアブソーバーを新品と並べてみる。リアの方がオイルの滲みは少ないようだ。
旧品に付いていたアッパーブラケットを新品のショックアブソーバーに移植する。このブラケットは新品のショックアブソーバーには付属してこない。
ここでも、フロントと同様に、ゴムブッシュの出来は旧品の方が良く、また締め付けトルクに関しても、適正値は不明であったので、見た目と経験で決めた。
リアも、このようにロワアームをジャッキでサポートする必要がある。
それにしても、このアームの長さはどうだ。ここまで長いアーム長を持つ市販車は珍しい。このアーム長は長ければ長いほどキャンバー変化が少ない。すなわち、車体の姿勢や路面の凹凸によるタイヤと地面の相対姿勢変化が少ないということだ。これは太いタイヤを履くクルマにはとても重要な要素となる。スポーツカーは、実はリアサスペンションが命である。コルベットは2シーターで、リアサスペンション回りの空間に余裕があるために、このような贅沢な設計ができたのだろう。コルベットがスポーツカーとしての本気であることの証拠である。
組み付け完了すると、こんな状態になる。
ショックアブソーバー交換後、Reno往復など、それなりの距離を走っての感想だが、実のところ、新旧の違いがハッキリとしない。旧品のショックアブソーバーは明らかにオイルが滲んでいたのだが、ダンピング性能はそれほど悪化していなかったのだと思われる。さすがに純正品。耐久性は良かったのだろう。
ところで、新しいショックアブソーバーには大きな問題がある。それは、前述のゴムブッシュだ。予想したとおり、走っているうちにゴムブッシュの位置がずれてしまい、ロッドと車体側ブラケットが直接接触し、キシミ音を発生するようになったのだ。この対策については、別途報告する予定だ。
コルベットの足回りは、普段の街乗りやフリーウェイなどでは明らかに固すぎるのだが、峠道などをちょっとスピードを出して走ると、意外にストロークがあり、いい感じで走ることができる。それは古いショックアブソーバーでも感じていたのだが、新しいショックアブソーバーでも同じ印象である。やはりコルベットは、スポーツカーだということだ。