39th Watsonville Fly-in & Air Show
05/24/2003
家からクルマで1時間半ほどのところにある、Watsonvilleという飛行場でエアショーがあるということで、アメリカ人の友人に誘われて行ってきた。
日本では航空ショーと言うと、ほとんどが在日米軍か自衛隊の主催によるもので、僕も日本に住んでいたときには何度か見に行ったことがある。しかし、このエアショーは民間主体によるもので、ほとんどが個人所有の機体である。そのために、海兵隊のハリアーを除き、すべてがプロペラ機であるが、ビンテージの機体から、なんとホームビルドの機体まで、多種多様な飛行機を見ることができた。また、第2次世界大戦中のウォーバード(戦闘機)も数多く参加していた。さすがは戦勝国である。日本では敗戦のときにほぼ全ての機体を破壊されてしまい、現在は博物館などに残っているのみとなっているが、アメリカでは大量に生産された戦闘機を、この後、個人が買い取り、レストアしたり改造したりして今でも楽しんでいるのである。
他のページに何度か書いているが、アメリカでは個人が趣味として飛行機を飛ばしたり持ったりすることは、珍しいことではない。しかも、飛行機を自分で作ることすら、趣味として一般に認知されているのである。ごく普通のマガジンスタンドで、飛行機の中古売買雑誌や、ホームビルドプレーンの雑誌などを売っていることからも、その事が感じられる。
そういった事が、普通のサラリーマンにできるのは、おそらく世界の中でアメリカだけであろう。日本経済がいくら豊かになって、国民の可処分所得が増えたとしても、日本は決してアメリカに追いつくことはできないだろうと、僕が考えるのは、こういった事からなのだ。
このような個人所有機が中心のエアショーは、日本では決して見られないのではないだろうか。
これは爆撃機。B-ナントカというやつである。もっと大きいのかと思っていたら、意外とそうでもなかった。多分、現代ではジャンボジェット機を見慣れているからだろう。
残念ながら、僕はWW2時代の飛行機にはあまり詳しくない。旧日本軍の飛行機なら、少しはわかるのだが、敵国のアメリカとなると、お手上げだ。子供のころは、もう少しわかったのだが。
これも爆撃機。
ヨーロッパ戦線で活躍したのだろう。コックピットの下の付近にナチスの撃墜マークと投下した爆弾数分のマークがあった。
これらの2機とも、お金を払えば中に入れるし、$400で乗せて飛んでもらえる。$400というと、SFOからラスベガスまで往復できる金額であるが、好きな人は惜しくないのだろう。結構、たくさんの人が乗っていた。
これはドイツ空軍機。なぜかというと、胴体にカギ十字のマークがあるからなのだが、なんという機種なのか不明。ただ、ポロっと置いてあるだけで、説明書きも何もないところが、いかにWW2時代のウォーバードが生き残っているかを感じさせる。しかし、これは敵国の戦闘機。日本の戦闘機と同様、現存数は非常に少ないのではないかと思うのだが。
これは何かの実験機らしい。もしかしたら、電動なのかも?
これが、今回のエアショーで最も気に入った機体。単座の小型バイプレーン(複葉機)。機体は小さいが、エンジンが強力なので、恐ろしく速く、機動性も高いらしい。知人によれば、セスナでえったらおっちら上昇していくわきをものすごい角度で上昇していくのを見たことがあるとか。
しかも、これはホームビルドの機体だそうだ。うーん、速そうでカッコいいなぁ。こういう飛行機が持てるのなら、免許を取ってみようかなと思う。
これも、上のと同様の機体。少しデザインが異なるので、違う機種らしい。これもカッコイイ。自分で持つならバイプレーンがカッコイイと思う。今までは、複葉機というと古き良き時代のクラシカルな飛行機というイメージでいたが、こういう機体を見て、デモフライトなんかをみると、バイプレーンの方が俄然カッコ良く思えてきた。翼の全長が短いので、ロールやヨーのモーメントも小さいのだろう。まさに、飛行機のスーパーセヴンかもしれない。
こういうのも、ホームビルドの機体。これは副座。
こういうホームビルドの機体は、実はそんなに高くないようだ。何機か売りに出ていたが、大体$20,000前後の価格になっていた。乗用車を一台買うのと同じ値段だ。機体の保管料は年間$1,000くらいらしいし、普通のサラリーマンの趣味として十分になりたつ費用だと思う。
これもホームビルドの機体。先尾翼というタイプ。変な形なので操縦が難しいのかと思ったが、飛行機の操縦をする友人によれば、実は安全な機体なのだそうだ。速度が下がってくると、自然と機首が下がるので、失速しないらしい。
ホームビルドの機体は、ユニークな形状のものが多い。
これはクラッシックな機体。クルマで言えばビンテージカーみたいなものだ。何かの賞を取っているらしい。
これは、アメリカ海兵隊の攻撃機。ハリアー。垂直離着陸のできる機体として有名だ。アノールド・シュワルツェネッガー主演の映画「トゥルー・ライズ」で活躍したので、知っている人も多いだろう。
ハリアーのデモフライト。ホバリング(空中停止)の実演をしているところだ。排気が真下に向かっているのが見えるだろうか?ジェットの排気を真下に向けて、エンジンの推力のみで機体を空中に保持している。
残念ながら、垂直離着陸は見ることができなかった。高温のジェット排気を地面にぶつけるため、滑走路の舗装が傷むからだそうだ。
デモフライトに向かう、WW2時代のウォーバード達。
残念ながら、機種名は不明。
これは、T-ナントカという練習機。
これは、あまりにも有名なので僕でも知っている。P-51ムスタング。つい先日、レストアが終わったばかりだとのこと。
こんな感じで、編隊を組んでフライバイしていく。
実は、こういう風景はエアショーでなくても見かけることがある。アメリカではこの手のウォーバードは結構個人所有されていて、時々飛んでいるのを見ることができる。たまに編隊を組んで海のほうに飛んで行き、1-2時間で戻ってくるのを見かけるのだが、どうやら海の上で戦争ごっこをしているらしい。いわゆる、サバイバルゲームというわけだが、それを飛行機でやってしまうところが、アメリカ人の凄いところだ。
こんな感じで旋回している姿もカッコイイ。
これは飛行機とヘリコプターによるアクロバット。
アクロバット飛行に向かうバイプレーン。
僕は飛行機が好きだった。子供のころは、ジェットファイターのパイロットになりたいと思っていたこともあった。残念ながら、視力が悪くなってしまい、職業パイロットへの道は閉ざされてしまったのだが。
アメリカに引っ越してから、飛行機というのが実に身近な存在であることを知った。私の知人でも数名が飛行機の免許を持っている。そして、他のページで紹介したように何度もセスナ機やグライダーを操縦したりした。グライダーは面白いと思ったが、実はセスナ機は自分で飛ばすにはあまり面白くなかった。無線でのやりとりだとか位置の確認だとかに多くの手間をとられるし、それほど高機動な動きをさせることができるわけでもない。そういうわけで、周囲に免許を取れと薦められながらも、なんとなく飛行機は退屈なもの、という気持ちが強くなっていた。
しかし、このショーのホームビルドの機体は、とても楽しそうに見える。そして、どれも手の届く価格である。今は、もしかしたら飛行機の免許を取りにいこかなぁ、と少し考え始めるようになった。上の写真で紹介した、小型ハイパワーのバイプレーンを自分のものにできるのなら、きっと楽しいに違いない。
さて、妻にとっては今回が生まれて初めてのエアショーだったのだが、とても気に入ったようだ。次のエアショーはどこでやるのかと、気にしている。そこで、9月にリノで行われるエアレースを見に行くことにした。レイクタホのホテルに4泊。そのうち2日の日程をエアレース観戦に、のこりをレイクタホでのんびりと過ごす旅程を組んだ。すでにホテルは予約済み。決勝日のグランドスタンドの指定席も確保した。小さいころからの憧れだった、サンダーバーズのショーも見られる。今からとても楽しみだ。