C3 68〜73年

最初は予算$7000以下で、73年型以前のC3コルベットを買おうと思った。理由はいくつかある。まず、もともとこの年式のC3コルベットが好きだったこと。特に、ダックテールになっているのがいい。74年式からは、するっと下がったテールになっていて、なんとなく迫力に欠ける。C3後期になると、再びダックテールになるのたが、ハッチバックスタイルになってるのと、なんとなくC3後期型は排ガス規制で腑抜けになったコルベットというイメージがあって、好きではない。 C3コルベットの中で、僕が最も好きなのは73年型だ。この年式だけフロントがウレタンパンパー、リアがクロームバンパーになっている。日本で人気があるのは、いわゆるアイアンバンパーというやつで、フロントのバンパーがクロームになっているタイプだ。ちなみに、アメリカではアイアンバンパーとは言わず、クロームバンパー、またはスチールパンパーと言っている。したがって、73年型はフロントがウレタンバンパーなので人気がない。しかし、僕が好きなのはリアのダックテールだ。そして、フロントはウレタンバンパーの方がカッコいいと思っている。

それから、日本に持って帰る時のことも考えた。いつになるかわからない将来、日本に帰るときに、愛車を一台、持って帰りたかったのだ。73年式以前なら、日本での排ガス検査が必要なく、登録が簡単だ。

73年式以前は、カリフォルニア州でsmog checkが必要ない。これは実質的に無車検ということだ。したがって、エンジンを載せ換えようが、スーパーチャージャーを付けようが、誰もとがめる人はいない。$3000も出せば新品のチューンアップされたエンジンが手に入る。350psとか400psとか。さらに、ビッグブロックのエンジンを選択すれば、500psだって苦労せず手に入るのだ。これはクルマのメカいじりが好きな人間にとってはたまらない。アメリカではシボレーエンジンの改造パーツはそれこそ星の数ほどあって、しかも値段が安い。これらを使って、好きなエンジンを組み立て、それを載せて公道を走っても誰にも怒られることはないのだ。アメリカでは、こういったことが大人の趣味として市民権を確立している。

それと、実を言えばちょっとだけ悪いことも考えていた。アメリカで350エンジンの73以前のコルベットを買って、454にでも載せ換えて日本に持ち込んでも、350エンジンのまま登録できるのではないか。そうすれば、454(7.5L)エンジンでも350(5.7L)エンジンと同じ税金で済むのではないか。などと悪巧みも考えていた。

予算$7,000というのは、あまり良い程度のものが買える金額ではない。レストアのベース車として考えていた。ベース車と言ってもボロボロのものではなく、一応多少の不満を持ちながらでも、毎日の通勤に使える程度のものだ。車両をこの程度に抑えて、あとは工具とかパーツとかエンジンとかを買うつもりでいた。レストアは、いつの日か、日本に帰るときまでに完成させれば良いつもりで考えていた。

そんなわけで、僕のコルベット探しは68年から73年式の350エンジンにターゲットを絞っていた。妻が、ある提案をするまでは。